第33回大阪府理学療法学術大会

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Web Poster

[P-8] P-8

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:P-8 (webポスター会場)

座長:法所 遼汰(牧整形外科病院)

[P-8-04] 左変形性膝関節症に対しTKAを施行した1症例 ~姿勢アライメントに着目して~

*松尾 耕平1、向埜 真歩1、桂 大輔1 (1. 堺若葉会病院)

【症例紹介】
左変形性膝関節症に対しTKAを施行された71歳、男性。身長171.5cm、体重102㎏、BMI 34.9、術前左膝JOAスコア60点。9年前に左膝内側部痛出現、4年前に疼痛増悪。術前動作能力は、屋内伝い歩き、屋外T字杖歩行自立、週3日買い物へは自転車で移動していた。TKA施行5日前に入院し術前理学療法開始。歩行左立脚期股・膝関節屈曲位、左立脚後期股関節伸展は消失。歩行時痛NRS7/10、ROMT両股伸展0°膝伸展右-5°左-10°MMT左股外転・内転、足底屈、体幹屈曲2。左FTA術前185°術後175°。10m杖なし歩行17.0秒21歩、片脚立位は両側1秒未満。連続T字杖歩行は約500mであった。
【評価とリーズニング】
 術後3日歩行器歩行自立、術後8日T字杖歩行自立、術後14日NRS2/10、ROMT両股伸展5°膝伸展右0°左-5°、MMT左股外転3、体幹屈曲3、10m杖なし歩行は12.7秒20歩、片脚立位は右12.6秒・左10.1秒、JOAスコア70点。体重97kg、BMI 33.2。歩行左立脚期の左膝は術前同様に屈曲位であり歩容の改善には至っていなかった。
 中山らは膝伸展制限が強いほど立脚中期から後期で屈曲モーメントが持続すると述べ、津田らは歩行時の屈曲モーメント増加は歩行時痛を反映すると述べた。本症例は左膝屈曲位歩行により屈曲モーメントが持続し左膝伸展獲得・疼痛改善を遅延し、屈曲位歩行が改善する事で左膝伸展可動域・疼痛が改善するものと考えた。
 またOnyemaechiは体重増加と腰椎前弯増強の関連を示しており、術前は腰椎前弯・股外旋屈曲位で姿勢を保持していた。よって両股・膝伸展制限・内反変形、左膝関節痛が生じ、それらが立脚期の両膝を屈曲させ立脚後期の消失を助長していたと仮説を立てた。
【介入と結果】
 仮説に基づき左膝に加えて体幹・股関節に対しても理学療法を実施した。
 術後21日、NRS0/10、ROMT両股伸展10°、両膝伸展0°と改善。MMTは著変なし、10m杖なし歩行は11.4秒20歩、片脚立位は右11.1秒左12.4秒、連続歩行約700m、左膝JOAスコア80点に改善した。体重95㎏、BMI 32.5。左股膝伸展可動域改善に伴い左立脚後期が出現し左立脚期における左膝の伸展が得られ歩容の改善を認めた。また体重減少による腰椎前弯軽減と左膝伸展・膝痛の改善に加え、体幹抗重力伸展筋活動が得られ姿勢が改善した。
【結論】
 今回、左TKAを施行した症例に対して局所の治療に加え術前の姿勢・動作パターンに着目し理学療法を実施することで歩行の改善を認めた。本症例を通じて患側膝関節だけでなく術前の姿勢・体幹・股関節にも着目する重要性を学んだ。
【倫理的配慮、説明と同意】
 本発表について説明し書面にて同意を得た。

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