第33回大阪府理学療法学術大会

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Web Poster

[PR-18] PR-18

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:PR-18 (webポスター会場)

座長:肥田 光正(大阪河﨑リハビリテーション大学)

[PR-18-01] 食道癌術後1年間における骨格筋量の推移について ― CT画像を用いた定量評価―

*水澤 裕貴1、東本 有司3、田村 友美1、白石 匡1、杉谷 竜司1、藤田 修平1、木下 敬詩1、白石 治2、安田 卓司2、木村 保1、福田 寛二3 (1. 近畿大学病院 リハビリテーション部、2. 近畿大学医学部 外科、3. 近畿大学医学部 リハビリテーション医学)

【背景と目的】食道癌患者における食道摘出再建術の術前のサルコペニアは,術後予後に影響を与える.さらに食道摘出再建術後では摂食不良によりサルコペニアはさらに加速する.食道摘出再建術後の骨格筋量の経時的な推移について術後4ヶ月程度までは報告されているが、それ以上の期間についての報告はない.当研究の目的は,CT画像を用いて全身の骨格筋量と相関を示す大腰筋の骨格筋量測定により,食道摘出再建術後12ヶ月までの骨格筋量の推移を定量的に明らかにすることとした.

【方法】研究デザインは後ろ向き観察研究.対象患者は,術前化学療法もしくは放射線照射を行った後,当院にて2016年1月から2020年3月までに食道摘出再建術を開胸にて実施した胸腹部食道癌患者とした.骨格筋の測定には,SYNAPSE VINCENT(FUJIFILM,Tokyo Japan)を用いて,腹部3D解析により大腰筋の体積量(cm3)と腰椎第3レベルにおける大腰筋断面積(cm2)を自動解析にて計測した.測定された大腰筋体積量,大腰筋断面積については身長(m)の二乗で除算し補正した.CT画像は術後の転移再発有無確認のために定期的に撮影されている.CT画像の測定ポイントは術前,術後4ヶ月,術後8ヶ月,術後12ヶ月であった.統計解析には,各測定ポイントについてFriedman検定,事後検定にはBonferroniを用いて多重比較を行った.有意水準は5%とした.

【結果】解析対象は,術後12ヶ月まで生存し各測定ポイントにおいて全身CT画像の欠損のない62例を解析対象とした.年齢:66.1±7.8歳,男性:53名(85.5%),術前の病期はIa:5名,Ⅰb:6名,IIa:6名,Ⅱb:11,IIIa:16名,Ⅲb:9名,Ⅲc:6名,IV:3名であった.大腰筋体積量の平均値の推移は,術前:97.2±24.0 cm3/m2,術後4ヶ月:91.8±22.9 cm3/m2,術後8ヶ月:91.7±24.4 cm3/m2,術後12ヶ月:91.1±24.1 cm3/m2であった.大腰筋断面積の平均値の推移は,術前:5.8±1.4 cm2/m2,術後4ヶ月:5.4±1.3 cm2/m2,術後8ヶ月:5.4±1.4 cm2/m2,術後12ヶ月:5.3±1.4 cm2/m2であった.多重比較の結果,大腰筋体積と断面積は術前と比較して術後4ヶ月,術後8ヶ月,術後12ヶ月で有意に減少していた(p < 0.05).

【結論】胸腹部食道癌患者における骨格筋量は,術前と比較して食道摘出再建術後12ヶ月時点でも回復していないことが明らかとなった.

【倫理的配慮,説明と同意】当研究は当院倫理委員会に承認を得て実施(承認番号R02- 115).オプトアウトを用いて研究参加拒否の場合には申し出るように提示した.

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