第34回大阪府理学療法学術大会

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大会長基調講演

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[KS-1] 大会長基調講演 
生涯学習 その成果

2022年7月3日(日) 08:40 〜 09:10 会場1(LIVE ch1) (10階 1003会議室)

座長:西川 篤史(野崎徳洲会病院・大東市理学療法士会会長)

08:40 〜 09:10

[KS-1] 生涯学習 その成果

松木 明好 (第 34 回大阪府理学療法学術大会 大会長
四條畷学園大学 リハビリテーション学部 教授)

「巨人の肩の上に立つ」
これは、私たちは先人の積み上げた成果の上に立って初めて現在の視野を得ている、という意味で使われます。私達が臨床で利用する知識や技術も、私達が所属する組織も、私達の社会的立場も、全て先人の成果の上に成り立っています。そして、次代のために新たな成果を積み上げていくこと、また次代を担う者が活躍できる場を作り上げることが、私達の責任であると考えます。
ここでいう「成果」が指す内容はどの視座に立つかで変わります。例えば、大阪府理学療法学術大会を教育者の立場から見た場合と、研究者の立場から見た場合とでは、異なる成果が期待されます。本講演では、我々理学療法士の学術面における活動の成果を中心に話をしたいと思います。
これまでの成果で重要な物はなにか、これから目指すべき成果は何なのかについて議論したいと思います。
1)これまでの成果
「私の活動は対象者の幸せな生活の実現に貢献しているのだろうか?」このような疑問について違和感を覚える人は少ないと思います。「障害にしか目を向けていないのではないか」と非難された時代があったことを考えると、これは一つの成果と言えます。もう一つの大きな成果は、理学療法士によって科学論文等が多く出版されるようになり、さらにその価値が評価されつつある事だと思います。視点転換の経験、科学的検証力の向上は意義のあるエビデンス構築に大いに貢献する重要な要素だと考えます。
2)これから目指す成果
エビデンスは活用されなければ価値はありません。これまで構築されたエビデンスの臨床活用を促進する教育がより求められます。エビデンスの正しい活用によって対象者のアウトカムが改善することが最も期待されることですが、副次的効果として、活用者のアカデミックスキルの向上、臨床データの蓄積、研究シーズ(種)の萌芽があります。臨床でのエビデンス活用と創発がこの業界の標準となることがこれから目指すステージであると考えます。