1:30 PM - 1:40 PM
[O-07-2] 重症片麻痺患者に対して移乗動作介助量軽減を目的にウェルウォークを用いた一症例
Keywords:脳卒中、歩行支援ロボット
【症例紹介】
症例は、脳室穿破を伴う15mmの左視床出血を認めた80歳代男性であった。以前より高血圧症、2型糖尿病を発症していた。また発症4か月前に陳旧性心筋梗塞と心房細動の診断を受けていたが脳卒中の既往歴は無く、視床出血発症前のADLは自立であった。初期評価時(発症94日後)の右下肢のBrunnstrom Recovery Stage(以下:BRS)はⅡ、表在感覚と深部感覚は重度鈍麻、Functional Assessment for Control of Trunk(以下:FACT)は7点、Functional Independence Measure(以下:FIM)の移乗は3点であり、半側空間無視、失語症、注意障害を呈していた。
【評価とリーズニング】
静止立位姿勢は、重心が麻痺側に偏位し、体幹が屈曲・左側屈、骨盤が左偏位、麻痺側股関節が屈曲・内転位であった。感覚障害と高次脳機能障害の影響で体幹の正中位保持や非麻痺側への重心移動が困難であった。移乗の際は、アライメント不良が助長され、麻痺側下肢の振り出しが困難であった。これらの問題点に対し、視覚フィードバックによるアライメント修正、左右の重心移動の学習、ロボット脚のアシストによる麻痺側下肢振り出し能力の向上を目的にウェルウォーク(以下:WW)を用いて歩行練習を実施した。
【介入と結果】
WWは、免荷ハーネスを用いて10kg免荷した状態で、前方のモニターを用いた。また、据え置き型縦手すりを設置することで上肢での引き寄せを利用し、非麻痺側への重心移動を促した。ロボット脚のアシストの設定は、麻痺側下肢振り出しを5(最大6)、立脚期の麻痺側膝伸展を6(最大10)とした。セラピストは患者の後方から体幹の伸展位保持と左右への重心移動を介助した。WWを用いた歩行練習の実施は、1回70とし、週に10回、59日間行った。最終評価では、FACTが9点、移乗のFIMが5点に改善した。右下肢のBRSと感覚障害については、変化が認められなかった。移乗動作では、据え置き型縦手すりを使用し、前額面、矢状面ともに正中位での立位保持が可能となり、さらに非麻痺側への重心移動ができるようになったことで、体幹および非麻痺側下肢の運動によって麻痺側下肢の振り出しが可能となった。
【結論】
重症片麻痺患者に対してWWによる歩行練習を実施することで、立位姿勢および非麻痺側への重心移動が可能となり、移乗動作の介助量が軽減した。
症例は、脳室穿破を伴う15mmの左視床出血を認めた80歳代男性であった。以前より高血圧症、2型糖尿病を発症していた。また発症4か月前に陳旧性心筋梗塞と心房細動の診断を受けていたが脳卒中の既往歴は無く、視床出血発症前のADLは自立であった。初期評価時(発症94日後)の右下肢のBrunnstrom Recovery Stage(以下:BRS)はⅡ、表在感覚と深部感覚は重度鈍麻、Functional Assessment for Control of Trunk(以下:FACT)は7点、Functional Independence Measure(以下:FIM)の移乗は3点であり、半側空間無視、失語症、注意障害を呈していた。
【評価とリーズニング】
静止立位姿勢は、重心が麻痺側に偏位し、体幹が屈曲・左側屈、骨盤が左偏位、麻痺側股関節が屈曲・内転位であった。感覚障害と高次脳機能障害の影響で体幹の正中位保持や非麻痺側への重心移動が困難であった。移乗の際は、アライメント不良が助長され、麻痺側下肢の振り出しが困難であった。これらの問題点に対し、視覚フィードバックによるアライメント修正、左右の重心移動の学習、ロボット脚のアシストによる麻痺側下肢振り出し能力の向上を目的にウェルウォーク(以下:WW)を用いて歩行練習を実施した。
【介入と結果】
WWは、免荷ハーネスを用いて10kg免荷した状態で、前方のモニターを用いた。また、据え置き型縦手すりを設置することで上肢での引き寄せを利用し、非麻痺側への重心移動を促した。ロボット脚のアシストの設定は、麻痺側下肢振り出しを5(最大6)、立脚期の麻痺側膝伸展を6(最大10)とした。セラピストは患者の後方から体幹の伸展位保持と左右への重心移動を介助した。WWを用いた歩行練習の実施は、1回70とし、週に10回、59日間行った。最終評価では、FACTが9点、移乗のFIMが5点に改善した。右下肢のBRSと感覚障害については、変化が認められなかった。移乗動作では、据え置き型縦手すりを使用し、前額面、矢状面ともに正中位での立位保持が可能となり、さらに非麻痺側への重心移動ができるようになったことで、体幹および非麻痺側下肢の運動によって麻痺側下肢の振り出しが可能となった。
【結論】
重症片麻痺患者に対してWWによる歩行練習を実施することで、立位姿勢および非麻痺側への重心移動が可能となり、移乗動作の介助量が軽減した。