2:40 PM - 2:50 PM
[O-10-4] 心肺運動負荷試験(CPX)のクールダウン中に著明な血圧低下を認めた心不全患者
Keywords:心不全、心肺運動負荷試験
【症例紹介】
60歳男性、入院時体重:94.7kg、BMI:31.9㎏/m2 。8年前に不安定狭心症に対しCABG(LITA-LAD、LITA-RITA-#14、Ao-SVG-HL)を施行され、今回は心不全加療目的で他院に入院。心臓カテーテル検査にて、#1:100%(慢性完全閉塞病変)、SVG:99%を認め、経皮的冠動脈形成術(#1:100%→0% 、SVG:99%→25%)を施行された。その後当院での加療を希望され、心不全加療目的で入院。併存疾患は、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、腹部大動脈瘤(30mm弱)。生活歴は、自動車での移動が多く運動習慣はなし、Former smoker、栄養指導受講歴あり水分や食事制限は行っていた。入院時所見は、左室駆出率:34%、BNP: 703.6pg/ml、心胸郭比:60.0%、Nohria-Stevenson分類:warm&wetであった。薬物治療は、第1病日にARNI・β遮断薬・利尿薬・SGLT2阻害薬・スタチン開始。その後ARNI・β遮断薬増量するも、CPX施行し著明な血圧低下を認めたため、ARNIは減量し退院となる。
【評価とリーズニング】
初期評価は、握力:右22.0kg/左20.0kg、SPPB:9点(下位項目:バランス4点、歩行4点、起立1点)。快適歩行速度での100m歩行で呼吸困難感を認めていた。第4病日に実施した快適歩行速度での6分間歩行試験は361mであった。本症例は、筋力トレーニングや有酸素運動での下肢筋力・運動耐容能の改善を図り、運動習慣の定着のため自主トレーニングを指導し退院後も運動療法を継続してもらうことが必要と判断した。
【介入と結果】
第2病日よりリハビリテーション開始。運動中は心ポンプ機能低下による血圧低下や、虚血による胸部症状・心電図変化に注意しながら歩行練習・筋力トレーニングを行い運動量を漸増した。しかし、第5病日に安静時よりPVC散発認め、第6病日にVT出現しCCU入室となり、第15病日にはICD植え込み術(設定:DDI40)を施行された。その後、自転車エルゴメーターでの有酸素運動や退院後も運動療法を継続してもらうため自主トレーニングの指導を行い、第25病日にCPX施行し翌日退院となる。最終評価は、握力:右22.0kg/左20.0kg、SPPB:10点(下位項目:バランス4点、歩行4点、起立2点)と筋力低下は残存したが、快適歩行速度での呼吸困難感は消失した。CPXの結果、Peak VO2:10.0ml/min/kgと運動耐容能は低下しており、Peak HR107bpmで予測最大心拍数の66%であることから心拍応答は低下していた。血圧は漸増負荷に伴い上昇したが、クールダウン後すぐに迷走神経反射により収縮期血圧60mmHg台まで低下した。原因は、低左心機能による心ポンプ機能低下、自律神経障害による心拍応答の低下、薬剤による心拍上昇抑制作用・降圧作用と考えられた。
【結論】
迷走神経反射による著明な血圧低下が生じた理由として、心機能や薬剤の影響が考えられた。今後も過負荷に注意した運動強度の設定を行い、運動耐容能向上のため運動療法を継続していく必要がある。
60歳男性、入院時体重:94.7kg、BMI:31.9㎏/m2 。8年前に不安定狭心症に対しCABG(LITA-LAD、LITA-RITA-#14、Ao-SVG-HL)を施行され、今回は心不全加療目的で他院に入院。心臓カテーテル検査にて、#1:100%(慢性完全閉塞病変)、SVG:99%を認め、経皮的冠動脈形成術(#1:100%→0% 、SVG:99%→25%)を施行された。その後当院での加療を希望され、心不全加療目的で入院。併存疾患は、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、腹部大動脈瘤(30mm弱)。生活歴は、自動車での移動が多く運動習慣はなし、Former smoker、栄養指導受講歴あり水分や食事制限は行っていた。入院時所見は、左室駆出率:34%、BNP: 703.6pg/ml、心胸郭比:60.0%、Nohria-Stevenson分類:warm&wetであった。薬物治療は、第1病日にARNI・β遮断薬・利尿薬・SGLT2阻害薬・スタチン開始。その後ARNI・β遮断薬増量するも、CPX施行し著明な血圧低下を認めたため、ARNIは減量し退院となる。
【評価とリーズニング】
初期評価は、握力:右22.0kg/左20.0kg、SPPB:9点(下位項目:バランス4点、歩行4点、起立1点)。快適歩行速度での100m歩行で呼吸困難感を認めていた。第4病日に実施した快適歩行速度での6分間歩行試験は361mであった。本症例は、筋力トレーニングや有酸素運動での下肢筋力・運動耐容能の改善を図り、運動習慣の定着のため自主トレーニングを指導し退院後も運動療法を継続してもらうことが必要と判断した。
【介入と結果】
第2病日よりリハビリテーション開始。運動中は心ポンプ機能低下による血圧低下や、虚血による胸部症状・心電図変化に注意しながら歩行練習・筋力トレーニングを行い運動量を漸増した。しかし、第5病日に安静時よりPVC散発認め、第6病日にVT出現しCCU入室となり、第15病日にはICD植え込み術(設定:DDI40)を施行された。その後、自転車エルゴメーターでの有酸素運動や退院後も運動療法を継続してもらうため自主トレーニングの指導を行い、第25病日にCPX施行し翌日退院となる。最終評価は、握力:右22.0kg/左20.0kg、SPPB:10点(下位項目:バランス4点、歩行4点、起立2点)と筋力低下は残存したが、快適歩行速度での呼吸困難感は消失した。CPXの結果、Peak VO2:10.0ml/min/kgと運動耐容能は低下しており、Peak HR107bpmで予測最大心拍数の66%であることから心拍応答は低下していた。血圧は漸増負荷に伴い上昇したが、クールダウン後すぐに迷走神経反射により収縮期血圧60mmHg台まで低下した。原因は、低左心機能による心ポンプ機能低下、自律神経障害による心拍応答の低下、薬剤による心拍上昇抑制作用・降圧作用と考えられた。
【結論】
迷走神経反射による著明な血圧低下が生じた理由として、心機能や薬剤の影響が考えられた。今後も過負荷に注意した運動強度の設定を行い、運動耐容能向上のため運動療法を継続していく必要がある。