14:50 〜 15:00
[O-11-5] 装具療法による運動学習を促進した結果、反跳膝が軽減した運動失調を呈する脳卒中症例
キーワード:装具療法、運動失調
【背景と目的】脳卒中患者に対する運動学習の促進は運動療法の重要な要素であり、装具療法は運動学習を促進する(才藤ら、2012)。しかし、脳卒中患者の運動失調に対する装具療法の詳細な報告は我々が渉猟した範囲では認められない。本報告は運動失調による歩行障害を呈した脳卒中患者に対する装具療法の影響を検討することを目的とした。
【症例紹介】対象は80歳代女性。疾患は分枝粥腫型梗塞。発症後約1ヶ月で当院入院となりADLはFIM102点。歩行は軽介助で課題は麻痺側下肢立脚時の動揺であった。
【評価とリーズニング】評価は入院1ヶ月後を初期、2ヶ月後の装具完成時を中間、3ヶ月後を最終とした。装具はOMCF-LH+。筋力をManual Muscle Test(MMT)、運動麻痺をFugl-Meyer-Assessment下肢運動(FMA)、Berg Balance Scale(BBS)、運動失調はScale for the assessment and rating of ataxia(SARA)で評価した。歩行能力は10m walk test(10MWT)、歩行動作は3歩行周期分を矢状面から動画撮影し二次動作解析ソフト(Kinovea)を用いて評価した。初期はMMT(右/左)が大腿四頭筋(Quad)4/2、ハムストリングス(Hum)4/3、前脛骨筋(TA)4/3、腓腹筋(Gas)3/2。FMAは20/34点、BBS35/56点、SARAは13/40点。10MWTは装具なし4点杖で、速度0.26m/秒、歩行率55歩/分であった。歩行動作では左立脚中期(Mst)に4.1(±0.2)°の反張膝を認めた。Mstの反張膝は運動失調による立位バランスの低下が要因と考えた。
【介入と結果】初期-中間は筋力強化、協調性改善、立位バランス向上、歩行練習を実施した。中間-最終は上記に加え装具療法を実施した。結果を中間:最終で示す。MMT(右/左)はQuad5/4、Hum4/3、TA5/4、Gas4/3、最終は中間と同等。FMAは21/34:22/34点、SARAは6.5/40:6/40点。BBS44/56点:49/56点。10MWTは装具なしT字杖、速度0.29m/秒、歩行率56歩/分:装具ありT字杖、速度0.28m/秒、歩行率84歩/分。歩行動作は装具なしMstに2.5(±3.8)°の反張膝。装具ありMstに1.5(±3.5)°の反張膝:装具なしMstに1.4(±2.2)°の膝屈曲、装具ありMstに3.2(±3.5)°の膝屈曲であった。
【結論】脳卒中後の運動失調症例に対する装具療法により反張膝が軽減した。反張膝は立脚期に重心前方移動が制限され前方推進力が得られない状態である(大畑、2013)。初期-中間の介入では運動失調の改善は得られたもののMstの反張膝が残存した。このため、装具療法を実施し、歩行動作の運動学習を促進した結果、反張膝の軽減が得られた。本症例を通じて、装具療法による運動学習の促進を促した理学療法介入は、運動失調症例の歩行安定性改善に寄与する可能性が示唆された。
【症例紹介】対象は80歳代女性。疾患は分枝粥腫型梗塞。発症後約1ヶ月で当院入院となりADLはFIM102点。歩行は軽介助で課題は麻痺側下肢立脚時の動揺であった。
【評価とリーズニング】評価は入院1ヶ月後を初期、2ヶ月後の装具完成時を中間、3ヶ月後を最終とした。装具はOMCF-LH+。筋力をManual Muscle Test(MMT)、運動麻痺をFugl-Meyer-Assessment下肢運動(FMA)、Berg Balance Scale(BBS)、運動失調はScale for the assessment and rating of ataxia(SARA)で評価した。歩行能力は10m walk test(10MWT)、歩行動作は3歩行周期分を矢状面から動画撮影し二次動作解析ソフト(Kinovea)を用いて評価した。初期はMMT(右/左)が大腿四頭筋(Quad)4/2、ハムストリングス(Hum)4/3、前脛骨筋(TA)4/3、腓腹筋(Gas)3/2。FMAは20/34点、BBS35/56点、SARAは13/40点。10MWTは装具なし4点杖で、速度0.26m/秒、歩行率55歩/分であった。歩行動作では左立脚中期(Mst)に4.1(±0.2)°の反張膝を認めた。Mstの反張膝は運動失調による立位バランスの低下が要因と考えた。
【介入と結果】初期-中間は筋力強化、協調性改善、立位バランス向上、歩行練習を実施した。中間-最終は上記に加え装具療法を実施した。結果を中間:最終で示す。MMT(右/左)はQuad5/4、Hum4/3、TA5/4、Gas4/3、最終は中間と同等。FMAは21/34:22/34点、SARAは6.5/40:6/40点。BBS44/56点:49/56点。10MWTは装具なしT字杖、速度0.29m/秒、歩行率56歩/分:装具ありT字杖、速度0.28m/秒、歩行率84歩/分。歩行動作は装具なしMstに2.5(±3.8)°の反張膝。装具ありMstに1.5(±3.5)°の反張膝:装具なしMstに1.4(±2.2)°の膝屈曲、装具ありMstに3.2(±3.5)°の膝屈曲であった。
【結論】脳卒中後の運動失調症例に対する装具療法により反張膝が軽減した。反張膝は立脚期に重心前方移動が制限され前方推進力が得られない状態である(大畑、2013)。初期-中間の介入では運動失調の改善は得られたもののMstの反張膝が残存した。このため、装具療法を実施し、歩行動作の運動学習を促進した結果、反張膝の軽減が得られた。本症例を通じて、装具療法による運動学習の促進を促した理学療法介入は、運動失調症例の歩行安定性改善に寄与する可能性が示唆された。