3:15 PM - 3:27 PM
[P-03-1] COPD患者において呼吸法習得と下肢の筋力が増加したことで労作時呼吸困難感が軽減した一症例
Keywords:呼吸リハ教育入院、慢性閉塞性肺疾患
【症例紹介】
70歳代男性, 日常生活動作は自立していた. X-3年頃から息切れを自覚し, 慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断されたが, 急性増悪を来たすことなく経過していた. 身体活動量は元来6000歩/日程であったが, X-0.5年からCOVID-19の影響で外出機会が減少し, 2000歩/日程に減少していた. これに伴い, 労作時の息切れが強く認められるようになった. 廃用症候群の影響を考え, 呼吸器リハビリテーション目的でX年に12日間入院となった. 酸素療法は未導入で, 薬物療法はウメクリニジウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩・吸入薬を使用していた. 呼吸機能検査では, %FVC:105.1%, %FEV1.0:85.0%, FEV1%:64.02%であった.
【評価とリーズニング】
呼吸様式:鼻呼吸, COPD assessment test(CAT):20点, 握力:37.3㎏, 膝伸展筋力27.1kgf, 6分間歩行:総距離336m, 修正Borg scale呼吸3/下肢4, 200m歩行:安静時SpO2 95%, 心拍数87回/分, 呼吸数20回/分, 修正Borg scale呼吸2/下肢2, 労作時SpO2 93%(リカバリー30秒), 心拍数90回/分, 呼吸数22回/分, 修正Borg scale呼吸3/下肢3であった. 問題点として, 労作時呼吸困難感, 口すぼめ呼吸の未習得, 下肢筋力の低下を挙げた.
【介入と結果】
プログラムとして, 口すぼめ呼吸の指導, 重錘を使用した下肢筋力増強運動, 自主練習指導(呼吸法と下肢筋力運動), パルスオキシメーターを使用しSpO2やリカバリー時間の確認を行った. 最終評価結果(初期評価と比較)は, 呼吸様式:口すぼめ呼吸, CAT:13点(-7点), 握力:38.0㎏(+0.7kg), 膝伸展筋力30.8kgf(+3.7kgf), 6分間歩行:総距離370m(+34m), 修正Borg scale呼吸2/下肢2, 200m歩行:労作時SpO2 93%(リカバリー20秒), 心拍数90回/分, 呼吸数14回/分(-6回/分), 修正Borg scale呼吸1(-2)/下肢1であった.
【結論】
臨床的な意義として, CAT:-2点, 膝伸展筋力:+3.3kgf, 6分間歩行:+25~33m, Borg scale:-1となれば介入効果があると報告されており, 今回のプログラムの効果は有意であったと考える. 本症例の呼吸リハビリテーションによる労作時呼吸困難感軽減の効果について, 呼吸指導と下肢筋力増加の2点が考えられる. 前者に関して, COPDの労作時呼吸困難感は動的肺過膨張により生じることが知られている. 本症例は理学療法後に200m歩行において労作時呼吸数の減少を認めた. これは口すぼめ呼吸の指導内容を習得できたことで呼気時間が延長し呼吸数が減少した結果, 労作時呼吸困難感の軽減に繋がったと考えられる. 後者に関して, 下肢筋力低下により低強度の運動でも乳酸アシドーシスが生じ, 労作時呼吸困難感が生じることが知られているが, 下肢筋力が増加したことで労作時呼吸困難感の軽減に繋がったと考えられる.
70歳代男性, 日常生活動作は自立していた. X-3年頃から息切れを自覚し, 慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断されたが, 急性増悪を来たすことなく経過していた. 身体活動量は元来6000歩/日程であったが, X-0.5年からCOVID-19の影響で外出機会が減少し, 2000歩/日程に減少していた. これに伴い, 労作時の息切れが強く認められるようになった. 廃用症候群の影響を考え, 呼吸器リハビリテーション目的でX年に12日間入院となった. 酸素療法は未導入で, 薬物療法はウメクリニジウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩・吸入薬を使用していた. 呼吸機能検査では, %FVC:105.1%, %FEV1.0:85.0%, FEV1%:64.02%であった.
【評価とリーズニング】
呼吸様式:鼻呼吸, COPD assessment test(CAT):20点, 握力:37.3㎏, 膝伸展筋力27.1kgf, 6分間歩行:総距離336m, 修正Borg scale呼吸3/下肢4, 200m歩行:安静時SpO2 95%, 心拍数87回/分, 呼吸数20回/分, 修正Borg scale呼吸2/下肢2, 労作時SpO2 93%(リカバリー30秒), 心拍数90回/分, 呼吸数22回/分, 修正Borg scale呼吸3/下肢3であった. 問題点として, 労作時呼吸困難感, 口すぼめ呼吸の未習得, 下肢筋力の低下を挙げた.
【介入と結果】
プログラムとして, 口すぼめ呼吸の指導, 重錘を使用した下肢筋力増強運動, 自主練習指導(呼吸法と下肢筋力運動), パルスオキシメーターを使用しSpO2やリカバリー時間の確認を行った. 最終評価結果(初期評価と比較)は, 呼吸様式:口すぼめ呼吸, CAT:13点(-7点), 握力:38.0㎏(+0.7kg), 膝伸展筋力30.8kgf(+3.7kgf), 6分間歩行:総距離370m(+34m), 修正Borg scale呼吸2/下肢2, 200m歩行:労作時SpO2 93%(リカバリー20秒), 心拍数90回/分, 呼吸数14回/分(-6回/分), 修正Borg scale呼吸1(-2)/下肢1であった.
【結論】
臨床的な意義として, CAT:-2点, 膝伸展筋力:+3.3kgf, 6分間歩行:+25~33m, Borg scale:-1となれば介入効果があると報告されており, 今回のプログラムの効果は有意であったと考える. 本症例の呼吸リハビリテーションによる労作時呼吸困難感軽減の効果について, 呼吸指導と下肢筋力増加の2点が考えられる. 前者に関して, COPDの労作時呼吸困難感は動的肺過膨張により生じることが知られている. 本症例は理学療法後に200m歩行において労作時呼吸数の減少を認めた. これは口すぼめ呼吸の指導内容を習得できたことで呼気時間が延長し呼吸数が減少した結果, 労作時呼吸困難感の軽減に繋がったと考えられる. 後者に関して, 下肢筋力低下により低強度の運動でも乳酸アシドーシスが生じ, 労作時呼吸困難感が生じることが知られているが, 下肢筋力が増加したことで労作時呼吸困難感の軽減に繋がったと考えられる.