[SO-03-2] 外来慢性閉塞性肺疾患患者における低頻度呼吸リハビリテーションは1年後の身体活動を向上させることができるのか?
Keywords:低頻度、呼吸リハビリテーション
【背景と目的】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の身体活動(PA)は、生命予後や入院、増悪リスクに影響することが報告されている。呼吸リハビリテーション(PR)に関するステートメントにおいて、PRは、評価と再評価に基づきシームレスに実施され、PAの向上を重視すべきであると明記されている。これまでの研究では、週に3~5回の頻度でPRの効果が得られると報告されている。しかしながら、外来場面でこのように高頻度に実施することは、息切れを主訴とするCOPD患者には厳しい。また、家族の付き添いがない、交通手段がないなど社会的要因も合わさり、現実的ではない。
そこで、本研究の目的は、外来COPD患者における低頻度PRは、1年後のPAを向上させることができるのかを検証することとした。
【方法】
対象は、安定期外来COPD患者23例(男性21例/女性2例)とした。疾患重症度であるGOLDカテゴリーはgroupAが12例、groupBが4例、groupDが7例であった。主要測定指標であるPAは、歩数、歩行エクササイズ(Ex)、生活活動Ex、日間Ex、週間Ex、1~1.9METsの活動、2~2.9METsの活動、3METs以上の活動とした。副次測定指標として、運動耐容能は、漸増シャトル歩行距離、筋力は、膝伸展筋力、体組成は、四肢骨格筋量指数とした。PRの頻度は、診察毎の1~2回/月とし、セッションは40分/回とした。内容は、自重負荷の筋力トレーニングと歩行や自転車エルゴメーターでの有酸素運動およびこれらの運動指導とした。統計学的分析方法は、3要因(ベースライン、半年後、1年後)の各測定指標の比較を反復測定による分散分析を用い、Post-hoc検定は、Tukey法で解析した。統計学的有意水準は5%とした。
【結果】
各要因間で主要測定指標の比較検討を行なった結果、歩数(p=0.15)、歩行Ex(p=0.89)、生活活動Ex(p=0.44)、日間Ex(p=0.55)、週間Ex(p=0.55)、1~1.9METsの活動(p=0.05)、2~2.9METsの活動(p=0.69)、3METs以上の活動(p=0.42)と有意差は認めていなかった。副次測定指標においても、有意差は認めていなかった。
【結論】
低頻度PRは、ベースラインから半年後および1年後のPAにおいて、有意な増加を示さなかったものの、主要測定指標、副次測定指標ともに維持させることが明らかとなった。これまで、PRとPAに関する報告は多数なされているが、半年以上におよぶ低頻度PRの効果を示した報告はほとんどなく、その効果は不明なままである。経過とともに低下していくPAを維持できたことは、生命予後や入院、増悪リスクの観点から考えると臨床的に有益と考える。また、本研究では1年間の介入効果の検証に留まったが、今後、長期間の介入効果を検証し、維持できているという結果が得られるならば、低頻度の介入効果の有益性は更に増すものと考える。研究の限界として、PA測定時の季節を考慮できていないこと、各測定時期の間に増悪している者も含まれていることがPRの効果に影響を及ぼしていることは否定できない。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の身体活動(PA)は、生命予後や入院、増悪リスクに影響することが報告されている。呼吸リハビリテーション(PR)に関するステートメントにおいて、PRは、評価と再評価に基づきシームレスに実施され、PAの向上を重視すべきであると明記されている。これまでの研究では、週に3~5回の頻度でPRの効果が得られると報告されている。しかしながら、外来場面でこのように高頻度に実施することは、息切れを主訴とするCOPD患者には厳しい。また、家族の付き添いがない、交通手段がないなど社会的要因も合わさり、現実的ではない。
そこで、本研究の目的は、外来COPD患者における低頻度PRは、1年後のPAを向上させることができるのかを検証することとした。
【方法】
対象は、安定期外来COPD患者23例(男性21例/女性2例)とした。疾患重症度であるGOLDカテゴリーはgroupAが12例、groupBが4例、groupDが7例であった。主要測定指標であるPAは、歩数、歩行エクササイズ(Ex)、生活活動Ex、日間Ex、週間Ex、1~1.9METsの活動、2~2.9METsの活動、3METs以上の活動とした。副次測定指標として、運動耐容能は、漸増シャトル歩行距離、筋力は、膝伸展筋力、体組成は、四肢骨格筋量指数とした。PRの頻度は、診察毎の1~2回/月とし、セッションは40分/回とした。内容は、自重負荷の筋力トレーニングと歩行や自転車エルゴメーターでの有酸素運動およびこれらの運動指導とした。統計学的分析方法は、3要因(ベースライン、半年後、1年後)の各測定指標の比較を反復測定による分散分析を用い、Post-hoc検定は、Tukey法で解析した。統計学的有意水準は5%とした。
【結果】
各要因間で主要測定指標の比較検討を行なった結果、歩数(p=0.15)、歩行Ex(p=0.89)、生活活動Ex(p=0.44)、日間Ex(p=0.55)、週間Ex(p=0.55)、1~1.9METsの活動(p=0.05)、2~2.9METsの活動(p=0.69)、3METs以上の活動(p=0.42)と有意差は認めていなかった。副次測定指標においても、有意差は認めていなかった。
【結論】
低頻度PRは、ベースラインから半年後および1年後のPAにおいて、有意な増加を示さなかったものの、主要測定指標、副次測定指標ともに維持させることが明らかとなった。これまで、PRとPAに関する報告は多数なされているが、半年以上におよぶ低頻度PRの効果を示した報告はほとんどなく、その効果は不明なままである。経過とともに低下していくPAを維持できたことは、生命予後や入院、増悪リスクの観点から考えると臨床的に有益と考える。また、本研究では1年間の介入効果の検証に留まったが、今後、長期間の介入効果を検証し、維持できているという結果が得られるならば、低頻度の介入効果の有益性は更に増すものと考える。研究の限界として、PA測定時の季節を考慮できていないこと、各測定時期の間に増悪している者も含まれていることがPRの効果に影響を及ぼしていることは否定できない。