第34回大阪府理学療法学術大会

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selection oral session

事前公開

[SO-04] 【事前公開】査読者推薦演題④(急性期など)

座長:疋田 佳希(aruck lab)

[SO-04-5] 入院後神経症状増悪を認めたBranch atheromatous disease (BAD)に対し早期理学療法を進めた一症例

町田 海渡1, 吉田 修樹1, 徳田 和宏1, 海瀬 一也1, 小山 隆2, 藤田 敏晃3 (1.阪和記念病院リハビリテーション部, 2.阪和記念病院リハビリテーション科, 3.阪和記念病院脳神経外科)

Keywords:脳卒中、急性期

【症例紹介】
70代男性.深夜トイレへ行こうと起き上がった際にふらつき認め救急要請.来院時,構音障害と右上下肢麻痺あり,National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)1点であった.頭部MRI拡散強調画像にて左橋に15.8mm×9.0mmの高信号域あり,急性期BAD型脳梗塞診断のもと保存的加療となり翌日よりリハビリテーション開始となった.
【評価とリーズニング】
入院直後より右上下肢麻痺の増悪を認めた.初期評価時はBrunnstrom Stage (Brs)上下肢Ⅱ,Fugl-Meyer Assessment (FMA)上肢/下肢29/10点,NIHSS9点,FIM(運動/認知)17/29点,Mini Mental State Examination (MMSE)28点,感覚障害は認められなかった.基本動作は端坐位軽介助,立位は膝折れあり中等度介助が必要であった.なお離床に伴うバイタルサインの大きな変動はなかった.次に本症例の予後予測について検討したところ,症例はBAD型脳梗塞,神経症状増悪あり,初回端坐位軽介助,72時間以内の下肢FMA14点以下という観点から短期,中期的な下肢,歩行機能予後は必ずしも良好ではない可能性が考えられた.しかし,感覚障害はなく認知機能も良好であり,また入院前ADL自立し非麻痺側の筋萎縮もなかったことから,早期より立位,歩行練習,さらに電気刺激療法を段階的に進め,基本動作や麻痺側機能の向上へ進めることとした.
【介入と結果】
3病日より坐位,立位練習開始.6病日には端坐位自立となり立位軽介助まで改善した.11病日より鏡や動画を用いた視覚的フィードバックから課題を共有しつつ平行棒内での立位練習や歩行練習を継続した.さらに右大腿四頭筋に電気刺激療法(DRIVE HOME;株式会社デンケン)も併用した.14病日にはFMA上肢/下肢40/17点まで改善し,ステップ練習も併せて実施した.結果,Brs上肢Ⅴ,下肢Ⅳ,FMA上肢/下肢51/23点,FIM(運動/認知)41/34点,T字杖歩行軽介助まで改善し26病日回復期リハビリテーション病院へ転院となった.
【結論】
入院後神経症状増悪を伴ったBAD型脳梗塞の症例を経験した.先行研究をもとに急性期経過から予後予測を行った結果,良好な経過を辿るとはいい難かったが,短期的に基本動作や麻痺側機能,ADLの改善を認めた.これらの要因として急性期治療,早期離床,電気刺激併用での麻痺側荷重,視覚的フィードバックなど様々な要因が挙げられるが,いずれにしても早期より二次障害を最小限に留めるような介入が重要であったと考える.中長期予後は不明であるが,仮に急性期にて機能予後不良と推察されたとしても,急性期経過を辿り介入方法を再検討していくことが必要であると考えられた.