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[26P-pm092] Effects of endocrine disruptors on estrogen-related receptors and G protein-coupled estrogen receptors
内分泌撹乱物質は、内分泌系に作用して生体に有害な影響を与える外因性の化学物質である。代表的な内分泌撹乱物質としてジエチルスチルベストロール(DES)やビスフェノールA(BPA)等があるが、それらの標的としては主に古典的なエストロゲン受容体(ER)が考えられていた。しかし近年、DESやBPAの標的としてエストロゲン関連受容体(ERR)やGタンパク質共役エストロゲン受容体(GPER)の可能性を示唆する報告もある。本研究では、マウス精巣のライディッヒ細胞由来のTM3細胞とセルトリ細胞由来のTM4細胞を用いて、DES、BPAの他、内在性エストロゲンである17βエストラジオール(E2)、GPERアゴニストのG1、GPERアンタゴニストG15、GPERアゴニストかつERアンタゴニストのタモキシフェン(TAM)及び4-ヒドロキシタモキシフェン(4OHT)、ER阻害剤のICI182,780(ICI)を種々の濃度で培地中に添加してその影響を解析した。その結果、DES、BPA、E2、G1を添加した場合は、特にERRβやERRγのmRNA量が大きく増加していたが、TAMや4OHTの添加ではmRNAの増加は誘導されなかった。また、TM3細胞においてステロイドホルモンの産生量をELISA法を用いて検討したが、抗体の交差反応の影響から一部しか評価が行えなかった。DESによってテストステロンの前駆体であるプロゲステロンの産生量が減少していたが、BPAでは減少しなかった。これらの結果から、内分泌撹乱物質の作用機序の一部にはERRやGPERが関与していることが示唆された。