2:00 PM - 4:30 PM
[26P-pm102S] Expression of TRP channels in human epithelial cell lines derived from airway and lung
【目的】室内環境中の化学物質は,シックハウス症候群や喘息等の原因や増悪因子となることが指摘されているが, そのメカニズムについては不明な点が多い.我々はこれまでに, 多様な生体反応や病態に関わる侵害刺激受容体Transient Receptor Potential (TRP) Channelsに着目し,特に気道刺激性の亢進に関与するTRPA1,TRPV1およびTRPM8について,ヒト気道および肺組織における発現量とその個体差に関する評価を行い,その特徴を明らかにした.本研究では,化学物質による気道刺激性のin vitro評価に適した株化細胞の選択に資する情報を得る目的で,ヒト気道および肺上皮由来細胞株におけるTRP Channelsの発現レベルを検討した.【方法】ヒト正常気道上皮細胞(BEAS-2B,HBEC3-KT)およびヒト肺胞基底上皮腺癌細胞(A549)はATCCより購入し,それぞれの推奨条件で培養したのち,TRPチャネル遺伝子発現量をreal-time RT-PCR法により定量した.なお,定量値は内在性コントロール遺伝子GAPDHおよびβ-actinを用いて標準化した.【結果と考察】今回評価した細胞においては,A549細胞のTRPA1,V1およびM8の発現レベルがヒト気道・肺組織に比較的近いことが明らかになった.また,BEAS-2B細胞では,播種後の時間経過/細胞密度の上昇に伴って,TRPA1についてはmRNAの発現が減少するのに対して,TRPV1では増加が認められた.以上の結果より,ヒト気道および肺由来細胞株においても各TRP mRNA発現のレベルは,細胞株によって,また培養条件によって著しく変化することから,TRP Channels を介する化学物質刺激に対する応答制御のメカニズムを検出するためのin vitro評価モデルを確立できる可能性があり,さらに詳細に解析を進める予定である.