第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

優秀演題候補セッション

優秀演題候補セッション1

2022年11月6日(日) 09:30 〜 10:30 第3会場 (5階 502+503)

座長:岩城 正宏(近畿大学 薬学部), 副座長:小湊 英範(I&H(株) 執行役員/調剤薬局事業支援本部 副本部長)

[AW-02] 薬局に勤務する管理栄養士と薬剤師の協働による2型糖尿病患者支援の効果に関する前後比較試験:PDCA study

庄司 雅紀1, 坂根 直樹2, 伊藤 直紀3, 砂山 慶次3, 恩田 光子1 (1.大阪医科薬科大学薬学部社会薬学・薬局管理学研究室, 2.国立病院機構京都医療センター予防医学研究室, 3.e薬局グループ・有限会社イトーヤク)

【目的】日本では近年、管理栄養士を擁する薬局が散見されるが、これによる具体的な効果に関する知見は十分蓄積されていない。本研究は、薬剤師と管理栄養士の協働による支援が2型糖尿病患者の血糖管理に与える効果の検証を目的とした。
【方法】本研究は単群の前後比較研究である。研究対象者は20-80歳の2型糖尿病患者で、介入期間は6カ月とした。介入に先立ち、主任研究者は糖尿病専門医監修のもと、3時間の研修を実施した。研修会では研究の趣旨説明の後、食事相談方法等に関する講義やロールプレーを実施した。介入期間中、管理栄養士は月に2度程度の頻度で、来局した患者に対し1回15-20分程度の栄養指導を行った。指導内容は薬剤師と共有し記録に残した。管理栄養士は主任研究者と月に1度オンラインにて面会し、指導内容や介入方針の確認を行った。主要評価項目はHbA1c値とし、副次評価項目をHDL-c、LDL-c、TG、食事療法の遵守に対する自己効力感(DMDSES)、偏食の程度、患者満足度とした。介入開始時及び終了時のデータをpaired t testにて比較し、効果量rを求めた。効果量の判断は(Cohen 1988)に従い、0.5以上を効果量大、0.5-0.3を効果量中、0.1-0.3を効果量小とした。
【結果】8人の患者が介入期間を完遂した。患者の平均HbA1c値は、介入開始時においては7.26 (0.96)であったが、6カ月後には6.63 (0.79)に低下した (p=0.028, r=0.72)。また、HDL-cが55.00 (14.81)から63.14 (10.11)に上昇した (p=0.110, r=0.51)。さらに、DMDSESのスコアが51.67 (8.31)から60.17 (8.45)に上昇した (p=0.025, r=0.79)他、患者満足度が24.0(4.0)から26.1(3.3)に上昇した(p=0.161, r=0.51)。
【考察】薬局に勤務する管理栄養士と薬剤師が協働することによって、2型糖尿病患者の食事習慣が改善され、血糖管理状態が向上する可能性がある。さらに、HDL-cの向上や食事療法に対する自己効力感の向上も期待できる。