第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

優秀演題候補セッション

優秀演題候補セッション1

2022年11月6日(日) 09:30 〜 10:30 第3会場 (5階 502+503)

座長:岩城 正宏(近畿大学 薬学部), 副座長:小湊 英範(I&H(株) 執行役員/調剤薬局事業支援本部 副本部長)

[AW-03] クラスター分析によるかかりつけ薬剤師制度利用患者の分類

池谷 怜, 此村 恵子 (国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)

【目的】
 かかりつけ薬剤師制度を利用する患者集団を、類似の患者背景を有する部分集団に分類するクラスター分析によって特徴づけし、制度の運用実態を明らかにする。
【方法】
 (株)JMDCが提供する2017年4月~2020年3月までのレセプトデータを用いて、複数回保険薬局を利用している患者から構成されるコホートを作成し、かかりつけ薬剤師指導料を算定されたものを制度利用群、それ以外を非利用群に分類した。更に、制度利用群を非階層クラスター分析によって5つの部分集団に分類した。各部分集団並びに非利用群における背景情報を記述するとともに、2018年4月~2020年3月までの重複投薬・相互作用等防止加算の算定率(件/1,000人・月)を算出した。
【結果】
 制度利用群は3,419名、非利用群は446,961名が対象となった。制度利用群は、非利用群に比較して全般的に薬剤の処方が少ない集団I(N = 1,700)、処方が多い集団II(N = 704)に分類された。更に、生活習慣病薬の処方が顕著に多い集団III(N = 622)、精神神経用剤や外用薬の処方が顕著に多い集団IV(N = 131)、そして高齢で入院歴のある患者が多い集団V(N = 262)が得られた。各部分集団における重複投薬・相互作用等防止加算の算定率(件/1,000人・月)は、非利用群:2.1、集団I:3.9、II:7.7、III:9.7、IV:17.5、V:15.0であった。
【考察】
 最も大きな集団Iを除き、各部分集団は非利用群に比較して何らかの薬剤の処方が多く、より薬学管理を必要とする状態にあることが示唆された。一方、重複投薬・相互作用等防止加算の算定率は全ての部分集団で非利用群より高く、重点的な薬学管理を必要とする集団への適用または制度を通じた薬学管理の質及び量の向上が果たされていることが示唆された。