第16回日本薬局学会学術総会

Presentation information

優秀演題候補セッション

優秀演題候補セッション2

Sun. Nov 6, 2022 9:30 AM - 10:30 AM 第4会場 (4階 411+412)

座長:大上 哲也(日本薬科大学 薬学部), 副座長:藤原 慎悟((株)タカラ薬局 取締役/店舗統括本部 運営部長 薬剤師)

[AW-07] アトピー性皮膚炎治療楽(デュピルマブ注)の使用実態と患者意識、治療継続における課題

吉田 称子, 林 誠, 山岸 菜穂子, 長井 浩, 小林 一浩, 佐藤 香織, 吉田 知弘, 熊澤 慶子, 原 和夫 ((株)わかば)

【目的】ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体(デュピルマブ注、以下D注)は既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎の治療薬である。症状改善と安定には継続使用が望ましいとされているが、推奨である6ヶ月よりも短期間での使用と休薬を繰り返す患者や中止となる患者が一定数存在する。今回、D注の連続使用期間に注目して使用実態を調査し、使用前後の状態変化や患者満足度、中止の理由について解析を行なった。
【方法】弊社2店舗において2019年4月1日から2022年5月31日までの間にD注を処方された33名について連続使用期間で分類し解析を行なった。本件では、処方医が外用剤は必要最小量のみ処方するという方針だったため、処方量を症状変化の指標の1つとして利用出来ると考え、very strong以上のステロイド外用剤処方量の変化を求めた。また、治療に対する満足度や中止理由については、服薬指導の一環として聞き取りを行った。
【結果】D注36週以上の連続使用者は8名、休薬期間を挟んだ短期の断続使用者は17名、中止4名、来局途絶6名であった。確認出来た29名の内、掻痒が改善したという回答は27名、効果について満足という回答は25名であった。ステロイド外用剤の処方量は、D注の連続使用期間が長くなるほど減少する結果となった。D注短期間使用の理由としては、悪化した時のみの使用が多かったが、費用の理由からやむを得ず使用期間を最小限に留めている例もあった。
【考察】本調査では、D注の効果を満足と感じる割合が高い事が示された。またステロイド外用剤の処方量減少は塗布する範囲が減った事を意味し、D注の継続が症状の改善かつ安定に有効であることが示唆された。一方で、短期使用に留めた患者が17名いたことは、経済的負担という課題の重さを感じる結果であり、各種医療制度の紹介や、寛解期間を長く保てるよう服薬期間中にフォローを行うなど、薬剤師介入の意義は大きいと考える。