[CSY1-2] ドライアイ治療における点眼順序の影響の検討について
日頃よりドライアイ治療薬のジクアホソルNa点眼液による刺激・違和感などのため、治療の中断や他剤へ変更する例を多数経験している。点眼薬による刺激・違和感はアドヒアランスや治療継続性を低下させる恐れがあり、対策が必要である。薬理作用の観点からは、ジクアホソルNa点眼液を先に使用し、ヒアルロン酸Na点眼液を後に使用することが良いと考えられるが、刺激感を強く訴える患者には、使用する順序を逆にすることも提案されている1)。しかしながら、刺激感を強く訴える患者の背景や点眼の使用順序を決めるための客観的な指標は示されていない。そこで、点眼薬の使用順序がドライアイ治療継続性に及ぼす影響について、ドライアイQOL質問表(DEQS)を用いて評価した。
ヒアルロン酸Na点眼液とジクアホソルNa点眼液を併用中のドライアイ治療中の患者のうち、取り組みに同意を得た26名を対象とした。両点眼薬の点眼順序を1か月交代で入れ替え、最終的に自身が最適と思う点眼順序を聴取した。評価には、主観的な目の状態評価(良い・ふつう・悪い)と、DEQSによるQOLスコアを用いた。
25名から有効回答が得られ、解析対象とした。取り組み前のドライアイ症状の主観的評価は「悪い」6名、「ふつう」14名、「良い」5名であった。また、それぞれのQOLスコアは29.5±10.0(平均±SD)、14.9±15.7、9.6±6.5であり、主観的な評価が「悪い」と回答した群においてQOLスコアが高い傾向にあった。最終的に選択した点眼順序は、ジクアホソルNa点眼液を先に使用する9名、後に使用する15名、順序を決めない1名であり、それぞれのQOLスコアは先に使用(10.2±7.1)、後に使用(20.9±15.7)であり、後に使用することを選択した患者において、有意に高い傾向が認められた。主観的症状「悪い」とした患者の6名中5名は後に使用することを選択した。
これらの結果を医師と共有し、主観的評価の悪い患者や主観的評価が悪くなくてもQOLスコアが高い患者には、治療中断を回避するためジクアホソルNa点眼液を後に点眼することを勧めることとした。今回の取り組みは、個々の患者に向き合った薬学的管理指導を集積することで、治療継続のためのエビデンス構築に寄与する機会となった。
患者個々の薬物治療の有効性・安全性について医師ならびに患者とコミュニケーションを深めることで、個別最適化した医薬品情報を提供できるものと考える。
1)ドライアイ研究会診療ガイドライン作成委員会:ドライアイ診療ガイドライン、日眼会誌、123(5)、489-592、2019
ヒアルロン酸Na点眼液とジクアホソルNa点眼液を併用中のドライアイ治療中の患者のうち、取り組みに同意を得た26名を対象とした。両点眼薬の点眼順序を1か月交代で入れ替え、最終的に自身が最適と思う点眼順序を聴取した。評価には、主観的な目の状態評価(良い・ふつう・悪い)と、DEQSによるQOLスコアを用いた。
25名から有効回答が得られ、解析対象とした。取り組み前のドライアイ症状の主観的評価は「悪い」6名、「ふつう」14名、「良い」5名であった。また、それぞれのQOLスコアは29.5±10.0(平均±SD)、14.9±15.7、9.6±6.5であり、主観的な評価が「悪い」と回答した群においてQOLスコアが高い傾向にあった。最終的に選択した点眼順序は、ジクアホソルNa点眼液を先に使用する9名、後に使用する15名、順序を決めない1名であり、それぞれのQOLスコアは先に使用(10.2±7.1)、後に使用(20.9±15.7)であり、後に使用することを選択した患者において、有意に高い傾向が認められた。主観的症状「悪い」とした患者の6名中5名は後に使用することを選択した。
これらの結果を医師と共有し、主観的評価の悪い患者や主観的評価が悪くなくてもQOLスコアが高い患者には、治療中断を回避するためジクアホソルNa点眼液を後に点眼することを勧めることとした。今回の取り組みは、個々の患者に向き合った薬学的管理指導を集積することで、治療継続のためのエビデンス構築に寄与する機会となった。
患者個々の薬物治療の有効性・安全性について医師ならびに患者とコミュニケーションを深めることで、個別最適化した医薬品情報を提供できるものと考える。
1)ドライアイ研究会診療ガイドライン作成委員会:ドライアイ診療ガイドライン、日眼会誌、123(5)、489-592、2019