第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

共催シンポジウム

共催シンポジウム2
「薬局薬剤師による食事・栄養への関わり方のガイダンス」

2022年11月6日(日) 13:10 〜 14:40 第2会場 (5階 国際会議室501)

座長:望月 眞弓 (慶應義塾大学 名誉教授), 富永 佳子 (新潟薬科大学薬学部 教授)

共催:日本臨床栄養協会の薬局・薬剤師活動委員会

[CSY2-2] 薬局薬剤師による食事・栄養への関わり方のガイダンス-高血圧患者への対応-

大舘 夕1, 2, 3, 4, 5, 6, 7 (1.ライフエンタープライズ(株) ハーブランド薬局 執行役員, 2.ライフエンタープライズ(株)事業本部, 3.ライフエンタープライズ(株)営業本部, 4.日本臨床栄養協会 薬局・薬剤師活動委員会, 5.松戸市薬剤師会 理事 フレイルチーム, 6.千葉県薬剤師会, 7.日本薬剤師会)

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近年、管理栄養士を採用する保険薬局も徐々に増えているが、全体からみるとまだまだ少ない。薬剤師は管理栄養士のように栄養学、食品学、調理学を体系立てて学修できるわけでなく、管理栄養士が患者の個別指導の場で発揮しているような“カウンセリングスキル”を習得することも容易ではない。このような状況の中で、患者の生活背景を把握し、個々の状況にあわせた対応が求められている薬局薬剤師は食事栄養面への積極的な関わりも重要となってくる。『薬局薬剤師による食事・栄養への関わり方のガイダンス』は、薬局薬剤師が食事栄養領域に一歩踏み出そうと考えた時の初歩的な手引きになることを目指し、日本臨床栄養協会に設置された「薬局・薬剤師活動委員会」メンバーが病態もしくは場面別に実践的な手順をまとめたものである。
 高血圧治療に関しては、患者本人の社会的環境(年齢・職業)や医学的背景(ADL・他循環器疾患・脳梗塞・心筋梗塞・脳出血他生活習慣病)を基準に、主治医は血圧コントロールの適正値を判断し、作用機序の異なる「降圧剤」を段階的に処方していくという薬物治療が行われている。
また近年では、「血圧を下げる」とうたわれた健康食品や、「効果の期待できる」と言われる食材などが数多く存在しており、高血圧症(生活習慣病)予防に対する食事改善への注目の高さがうかがえる。
高血圧治療の大きな特徴として、降圧剤の効果、食事含めた生活環境に影響する現在の血圧の状況を、患者自らが、家庭にある血圧計を用いて簡単に知ることができ、その結果を医師が判断し継続治療に繋げるという利点があり、患者のアドヒアランス向上につながっていると考える。
 本ガイダンスの高血圧症患者への対応を述べたセクションでは、「日本高血圧学会」の「塩分チェックシート」を用いて薬局薬剤師の立場でも対応可能と思われる内容に焦点をあてることとした。日々摂っている食事をもとに質問例や関わりの優先度や目標を判断することができるように活動のフローチャートを示し、減塩を中心とした食生活の改善を支援することにより、最終的に内服薬の減量や減薬を目標とした。そのために必要な主治医や管理栄養士らとの職種間連携における留意点にも触れている。