[LS1] 感染対策と手指衛生
ヒトの感染症の制御は感染源,感染経路及び感受性者に対する対策が基本である。感染源対策は感染源を特定した上で,①感染源に含まれる病原体を死滅させる(殺菌,消毒),②病原体を封じ込め,外部への拡散を防止する(隔離) する。感染経路には飛沫感染,空気感染,接触感染等があるが,それぞれに適した方法で,①物理的遮断(マスク等着用),②介在物中の病原体を死滅・除去させる(手洗い,殺菌,消毒) 等を行う。感受性者対策は,①ワクチン接種による感染予防(感染予防,流行阻止(集団免疫)),②抗ウイルス剤,抗菌剤等を用いた治療等が中心となる。
この中で,私たちに最も身近な対策が,「手洗い」(手指衛生) である。手洗いは子供の頃から,トイレの後,食事の前,帰宅時など,様々な場面で行っており,生活の一部と言っても過言ではない。消費者庁が実施した「手洗いに関する意識調査」では,手洗いの目的が「感染予防(自分が病原体に感染しないため)」と回答したのは,「汚れを落とす」(89.1%)に次いで2 番目(50.9%) であったものの,手洗いにかける時間は15 秒未満が66%を占めていた。トイレの後に手洗いをしない人は15.4%であった。
感染症予防を意図した手洗いの目的は,環境,食品,汚染物(嘔吐物,便) から一時的に付着した病原体を洗い落とすことにある。外科の手術では,皮膚の表面に存在する常在菌も術後感染症の原因となるため,常在細菌も含め除去する必要があるが,感染症予防では一時的に外界から付着した微生物を除去できればよい。食品を介して感染する(食中毒の原因となる) ノロウイルスは,トイレ後,介助などにおける排泄物の処理,あるいはそれらから二次汚染を受けた環境,食器等から手指が汚染される。
正しい手洗いは,必要な時に,効果的な方法で行うことが大切である。しかし,手洗いが生活の一部になっていることもあり,日々の手洗いが効果的に実施できているとは限らないし,やり方や意識の個人差も大きい。我々の検証実験において,マニュアルに従った方法で実施した場合でも,効果的な手洗いができている人は多くはなかった。そのため,何等かの方法で,手洗いの有効性を検証し,効果的な手洗いを身に着けることが大切である。
一方,新型コロナウイルスの流行により,環境や手指の消毒がより日常的になった。これらにおける注意点についても触れる予定である。
この中で,私たちに最も身近な対策が,「手洗い」(手指衛生) である。手洗いは子供の頃から,トイレの後,食事の前,帰宅時など,様々な場面で行っており,生活の一部と言っても過言ではない。消費者庁が実施した「手洗いに関する意識調査」では,手洗いの目的が「感染予防(自分が病原体に感染しないため)」と回答したのは,「汚れを落とす」(89.1%)に次いで2 番目(50.9%) であったものの,手洗いにかける時間は15 秒未満が66%を占めていた。トイレの後に手洗いをしない人は15.4%であった。
感染症予防を意図した手洗いの目的は,環境,食品,汚染物(嘔吐物,便) から一時的に付着した病原体を洗い落とすことにある。外科の手術では,皮膚の表面に存在する常在菌も術後感染症の原因となるため,常在細菌も含め除去する必要があるが,感染症予防では一時的に外界から付着した微生物を除去できればよい。食品を介して感染する(食中毒の原因となる) ノロウイルスは,トイレ後,介助などにおける排泄物の処理,あるいはそれらから二次汚染を受けた環境,食器等から手指が汚染される。
正しい手洗いは,必要な時に,効果的な方法で行うことが大切である。しかし,手洗いが生活の一部になっていることもあり,日々の手洗いが効果的に実施できているとは限らないし,やり方や意識の個人差も大きい。我々の検証実験において,マニュアルに従った方法で実施した場合でも,効果的な手洗いができている人は多くはなかった。そのため,何等かの方法で,手洗いの有効性を検証し,効果的な手洗いを身に着けることが大切である。
一方,新型コロナウイルスの流行により,環境や手指の消毒がより日常的になった。これらにおける注意点についても触れる予定である。