第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2022年11月6日(日) 14:10 〜 15:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-017-B] 専門医療機関連携薬局のかかりつけ薬剤師にできること~がん患者のバッドニュースに寄り添った事例について~

本田 雅志1, 原田 素子1, 荒井 元志2, 足立 昇平1, 江淵 愛1, 坂口 敦彦1, 本村 真悟1, 正木 研1, 下川 友香理3, 長澤 陽3 (1.総合メディカル(株)そうごう薬局天神中央店, 2.総合メディカル(株)そうごう薬局塩原店, 3.総合メディカル(株))

【はじめに】
2016年からかかりつけ薬剤師制度が開始となり、また2021年8月より専門医療機関連携薬局の認定制度が開始された。今回、専門医療機関連携薬局の薬剤師が、かかりつけ薬剤師として長期間患者を担当することで、患者がバッドニュースを乗り越える一助となったと感じた事例について報告する。
【事例】
A氏、60歳代、女性、卵巣がん、肝転移。X年7月に外来化学療法開始して以来3年間、かかりつけ薬剤師として、薬局窓口での応対や電話によるフォローアップを計51回実施した。X+2年2月35回目の応対時、放射線治療後の診察で、がんが進行していたこと、一番頼りにしていた放射線科医が異動となったことを吐露され、相談できる相手がいなくなったという辛い気持ちを打ち明けられた。傾聴した上で「Aさんの頑張りはずっと担当していた私も知っている。主治医もきっと分かっている」と寄り添ううちに、主治医の先生にも改めて相談するという前向きな返事をもらった。X+3年1月(47回目)、電話にて相談あり。「治験を受けられるという希望を持っていたが、病院から突然『受けることができなくなった』と連絡があった。私はどうすればいいか」と訴えられた。治験を受けることを楽しみにしていたことを聞いていたため、患者が受けたショックに共感した上で、自身が納得するまで事情をひとつひとつ確認するようにアドバイスした。その後、病院でも冷静に話を聞くことが出来たこと、今できる治療を体調を整えながら続けていきたいと思っていることを聴取した。以降、治療を再開し、継続して来局している。
【考察】
がん患者は長期継続的に治療を続ける中で、必ずバッドニュースを経験する。その時に専門医療機関連携薬局の薬剤師がかかりつけとして長期に渡り寄り添うことで、バッドニュースを乗り越えるパートナーの1人となり得ると気づかされた事例である。