[P-020-B] 薬学的観点を用いて主治医と協働し薬物治療を支援できた事例
【目的】患者のための薬局ビジョンには、調剤後も患者の状態を把握し、処方医へのフィードバックを行うことが示されている。本発表では、薬理学、薬物動態学および製剤学といった薬学的観点を用いて、副作用の可能性をアセスメントし、服薬情報提供書を介して主治医と協働しながら、治療を支援できた症例を報告する。
【症例】70歳代、男性、気管支喘息の既往歴はなし、脳出血後遺症による左上下肢麻痺のため、寝たきり状態である。X年6月~現在まで、居宅療養管理指導として介入した。循環器疾患を往診医が、緑内障を眼科医が診ていた。X+2年2月2日訪問時、本人より息苦しいと訴えがあり、ミケルナ®配合点眼液による影響を懸念した。しかし、バイタルサインは安定しており、緊急性はないと考え、往診医へ服薬情報提供書にて、次回往診日での対応を依頼した。X+2年2月14日往診後、被疑薬の中止の指示はなく、アドエア®125エアゾール(以下アドエア®)が追加された。同日、眼科医にも現状を情報提供したが、眼科医からも中止指示はなかった。3月2日訪問時、症状の緩和が見られており、アドエア®の効果が見られた。3月30日訪問時、お薬手帳記載より、点眼薬が変更になっていることを確認した。4月8日から症状が寛解したためアドエア®の使用は終了した。その後現在に至るまで、経過は良好である。
【考察】点眼液は鼻涙管から吸収され、全身作用を起こすことが知られており、β遮断作用のある点眼薬は気管支喘息の既往がある方には禁忌となっているものもある。今回の症例では、気管支喘息の既往歴はなく、鼻涙管からの吸収を抑えるための対策もできていたがこのような症状がみられた。このことから、薬剤師は薬剤の適正使用のための情報提供も重要な役割だが、薬剤を使用した後の経過を観察し、薬が適正に体に作用しているかを継続的にフォローおよびアセスメントすることも重要であることが示唆された。
【症例】70歳代、男性、気管支喘息の既往歴はなし、脳出血後遺症による左上下肢麻痺のため、寝たきり状態である。X年6月~現在まで、居宅療養管理指導として介入した。循環器疾患を往診医が、緑内障を眼科医が診ていた。X+2年2月2日訪問時、本人より息苦しいと訴えがあり、ミケルナ®配合点眼液による影響を懸念した。しかし、バイタルサインは安定しており、緊急性はないと考え、往診医へ服薬情報提供書にて、次回往診日での対応を依頼した。X+2年2月14日往診後、被疑薬の中止の指示はなく、アドエア®125エアゾール(以下アドエア®)が追加された。同日、眼科医にも現状を情報提供したが、眼科医からも中止指示はなかった。3月2日訪問時、症状の緩和が見られており、アドエア®の効果が見られた。3月30日訪問時、お薬手帳記載より、点眼薬が変更になっていることを確認した。4月8日から症状が寛解したためアドエア®の使用は終了した。その後現在に至るまで、経過は良好である。
【考察】点眼液は鼻涙管から吸収され、全身作用を起こすことが知られており、β遮断作用のある点眼薬は気管支喘息の既往がある方には禁忌となっているものもある。今回の症例では、気管支喘息の既往歴はなく、鼻涙管からの吸収を抑えるための対策もできていたがこのような症状がみられた。このことから、薬剤師は薬剤の適正使用のための情報提供も重要な役割だが、薬剤を使用した後の経過を観察し、薬が適正に体に作用しているかを継続的にフォローおよびアセスメントすることも重要であることが示唆された。