[P-024-C] 眼圧下降点眼薬使用患者の来局間隔と眼圧変化に関する検討
【目的】緑内障の発症・進行を抑制する最も確実な治療法は眼圧下降であり、点眼薬による持続的な眼圧コントロールが重要とされている。一方、緑内障治療では治療継続率の低下が問題視されており、定期的な受診やアドヒアランスを良好に保つ事が必要である。しかし、適切な受診間隔や受診間隔が眼圧に及ぼす影響に関する報告は少ない。そこで今回、我々は眼科の休診に伴い、来局間隔の変化が眼圧に及ぼす影響について検討したので報告する。
【方法】2021年7月18日~9月27日(72日間)の期間(以下、対象期間)から前後6ヶ月の間、継続的に眼科を受診し、当薬局で眼圧下降点眼薬が調剤された患者を対象に調査を行った。対象期間直前後の来局時に聴取した眼圧と来局間隔の日数について検討した。眼圧は左右眼の平均値とした。統計学的有意水準はp<0.01とし、対応のあるt検定で比較した。
【結果】対象患者は96名(男性52名、女性44名、年齢67.5±10.8歳)であった。眼圧下降点眼薬の使用製剤数は1.76±1.04剤であった。対象期間直前後の眼圧は各々14.5±1.9mmHg、15.2±2.3mmHgであり、有意差がみられた。対象期間直前の来局から直後の来局までの間隔(以下、直前後の間隔)は95.5±16.4日であり、対象期間直前の来局からその前の来局までの間隔(以下、前の間隔)は40.8±21.7日、対象期間直後の来局からその後の来局までの間隔(以下、後の間隔)は42.6±13.8日であった。直前後の間隔と前の間隔、および後の間隔を比較して、各々有意差がみられた。
【考察】対象期間直後に眼圧の上昇がみられた。対象期間直前後の来局間隔は3ヶ月を超えており、通常の来局間隔の約6週間より2倍以上長かった。来局間隔の延長によりアドヒアランスが低下し、眼圧が上昇したことが考えられる。来局間隔が延長する場合は、眼圧コントロールの重要性に関して、再度服薬指導する必要があると思われる。