第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 6, 2022 3:10 PM - 4:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-048-C] 大腸がんと非結核性抗酸菌感染症を併せもつ患者において担当医への早期情報提供が有害事象回避に繋がったと思われる1症例

岡 三佐子 (岡薬局田中店)

【目的】60代女性、身長155cm、体重44kg、非結核性抗酸菌感染症(肺MAC)にて治療中に大腸がんStageIIIbが見つかり腹腔鏡下で手術し、術後補助化学療法は内服薬希望だった。大腸がん治療薬未定及び肺MAC病状不安定にて処方変更の可能性が高かった為、相互作用回避目的でトレーシングレポートによる両担当医への早期情報提供を試みた。
【方法・結果】大腸がん担当医にはクラリスロマイシン(CAM)600mg/日、エタンブトール(EB)750mg/日、レボフロキサシン(LVFX)250mg/日、何れも朝食後が処方されている事及びCAMはCYP3A4を競合的に阻害しマクロライド・ニトロソアルカン複合体を形成し不可逆的にも阻害する事を伝えた。又肺MAC担当医には抗がん剤との相互作用及びリファンピシン(RFP)の処方にはご留意頂く旨を予め伝えた。術後3週間目「ホリナート(LV)・テガフール・ウラシル(UFT)療法」(LV75mg/日、UFT400mg/日、何れも8時間毎4週投与1週休薬1コース)が決定した。UFTはCYP2A6及びジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼが関与している事を肺MAC主治医に報告し、患者には食事前後1時間を避け8時間毎の服用を伝えた。2コース目治療中肺MAC処方がCAMから酵素阻害作用の少ないアジスロマイシン(AZM)250mg1錠に、腎排泄のLVFX250mg1錠が1.5錠に変更されRFPは処方されなかった。この事を早速大腸がん担当医に報告した。3コース目から両手に痒みを伴う皮膚乾燥が発現しGrade2であった。ヘパリン類似物質クリームとジフルプレドナート軟膏を提案したところミノサイクリン(MINO)100mg/日も同時に追加された。MINOはCYP2A6やCYP3A4他で代謝されUFT及びAZMとの相互作用が懸念された為に疑義したところ削除となったが、皮疹は3週間位でGrade1に改善した。
【考察】両担当医へ早い段階で情報提供した事が相互作用の可能性が高い薬剤の処方回避に繋がり、患者のPS(Performance Status)を落とす事無く治療継続に繋げる事が出来たと思う。