第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2022年11月6日(日) 15:10 〜 16:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-063-C] 慢性疼痛患者の現状把握及び問題点からかかりつけ薬剤師による更なる介入の必要性に迫る

田村 和久1, 石井 杏奈2, 安達 禎之2, 原 和夫1 (1.(株)わかば, 2.東京薬科大学)

【目的】慢性疼痛は、痛みの原因が治った後も痛みが続き、器質的要因・心理的要因など複合的な要因で慢性化し、傾眠や精神症状も併発しやすい。また、痛みの評価は患者の主観によるため客観的に評価することは難しい。そこで、薬局薬剤師が慢性疼痛患者(以下患者)の服薬指導時において、表面的な疼痛だけでなく心理的要因まで十分に対応できているか、確認するため調査を行った。
【方法】2022年5月27日~6月11日に弊社薬剤師に対し、患者のQOL改善のための対応に関するアンケート調査を依頼し、匿名にて回収を行った。
また、2022年6月より弊社7店舗に来局した患者に対し、無記名回答によるアンケート調査を実施した。評価項目として、痛みの度合い、傾眠・精神症状、相談相手の有無等を設定した。
【結果】薬剤師より86名の回答があり、患者の傾眠・精神症状を認識している薬剤師は74%だった。悩みを相談された人は85%で、その内容は症状が85%に対し、精神面は25%であった。傾眠に対しては71%の方に対応策を示していたが、精神面に対しては傾聴のみが64%で対応できていたのは33%だった。一方患者より11名の回答があり、悩みの相談先は医師が64%に対し、薬剤師は18%と少なかった。かかりつけ薬剤師の必要性を感じる人は、薬剤師が75%に対し患者は45%だった。また、鎮痛薬服用期間が長い患者程かかりつけ薬剤師を求める傾向が見られた。
【考察】本調査より、かかりつけ薬剤師の必要性において、薬剤師‐患者間で意識の差があることが明らかになった。背景として患者の症状や傾眠については聴取・対応できている一方で、より内面的な悩みである精神面までは十分に踏み込めていなかったことが要因と考えられる。患者とより親密な信頼関係が構築されたかかりつけ薬剤師として接することにより、今迄以上に患者と寄り添うことで治療状況によっては、内面的な問題点である心の悩みまで介入していく必要もあると考える。