第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2022年11月6日(日) 13:10 〜 14:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-109-A] 薬物動態学的に大きな影響を及ぼす併用注意薬剤の安全使用を目的とした取り組み

山野 真也1, 高廣 誠司1,2 (1.総合メディカル・ファーマシー中部(株)ナツメ薬局 桜山店, 2.総合メディカル・ファーマシー中部(株))

【目的】添付文書において、併用注意に区分されるもののなかには、レパグリニドとクロピドグレルの相互作用の様に血中濃度に影響を与えて高齢者が遷延性低血糖を引き起こすリスクの高いものや、金属イオンの様に吸収量が大きく低下する組み合わせ等があるため、薬剤師として併用を避けるよう積極的な処方提案が求められる。そこで、薬物動態学的に影響が大きい薬の併用注意について、処方監査・処方提案等を支援する情報を記載した対応手順を作成した。今回は、運用開始後の対応状況について調査したので報告する。
【方法】「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」を参考に、薬物動態学的に血中濃度への影響が大きい併用注意25種類について、それぞれの処方提案・患者指導の対応手順を作成し、近隣4薬局にて2020年3月1日から6月12日の期間に処方監査で使用した。その結果として疑義照会で処方変更などに至った数や対応事例について調査した。
【結果】期間中に該当の併用注意は89件あり、最も多い事例は、抗生剤とキレートを形成する併用7件であった。89件のうち、処方変更を提案したのは8件、うち5名が60代以上の事例であった。8件中6件について処方変更となった。79件は電話によるフォローアップにて副作用等を経過確認した。また、レパグリニドとクロピドグレル併用は2件あり、うち1件については、60代患者への新規処方1週間後の電話フォローアップにて低血糖様症状を把握し、医師に報告しレパグリニド中止となった。
【考察】今回の取り組みにより、見逃されがちであったリスクの高い併用注意による副作用の増悪防止に貢献することができた。また、既に併用期間が長く、副作用かどうかの評価が難しい事例を経験したことから、特にリスクの高い高齢者の併用については、初回投与の時点から経過をフォローアップすることが重要であると考察した。