第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2022年11月6日(日) 13:10 〜 14:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-118-A] カルバマゼピンに起因する処方カスケードを解消した症例報告

手島 由道1,2, 大久保 尚徳1, 矢野 脩一朗1, 山本 巌3, 佐藤 弘希3, 岡山 善郎3 (1.(株)ファーマダイワ 学術部, 2.(株)ファーマダイワ ファーマダイワ水前寺薬局, 3.(株)ファーマダイワ)

【症例報告】処方カスケードとは、服用している薬による有害な反応が新たな病状と誤認され、それに対して新たに薬が処方される状況のことである。今回、カルバマゼピン錠(以下CBZ)による低Na血症により処方カスケードが発生し、薬剤師の提案により解消した症例を報告する。50歳代男性。脊椎損傷により寝たきりである。X年Y月退院後、在宅患者訪問薬剤管理指導を開始。開始当初から倦怠感の訴えが強く、血清Na値は基準値以下の134mEq/L。入院中より内服にて塩化ナトリウムを服用していたが改善が乏しく、倦怠感続くためX年Y+3月塩喪失型慢性副腎皮質機能不全の疑いでフルドロコルチゾン酢酸エステル錠が処方追加となる。その後も明らかな改善はなく、X年Y+4月血清Na値は124mEq/Lまで低下し、定期的に電解質輸液が投与されたものの、血清Na値は正常値までは改善しなかった。X年Y+8月薬剤師から主治医への報告書に神経障害性疼痛で処方されていたCBZによる副作用の可能性が考えられる旨を記載し、その根拠として、 これまでに報告されている症例報告とJADERデータベースにおいてCBZによる低Na血症報告があることを情報提供した。その後、CBZは中止され、代替薬は処方されなかったものの神経障害性疼痛の悪化の訴えはなかった。CBZ中止後、倦怠感の訴えは改善し、血清Na値は142mEq/Lに改善。しかし、中止後の血圧が150/90を超えることがありX+1年Y月フルドロコルチゾン酢酸エステル錠の減量と同時にアムロジピン錠2.5mgが処方追加となる。X+1年Y+2月フルドロコルチゾン酢酸エステル錠は中止、アムロジピン錠も現在服用しておらず血圧コントロール良好である。本症例では薬剤の副作用に起因して複数の薬剤が追加されるという処方カスケードが発生したが、原因薬剤を特定できたことで処方カスケードの継続を防ぐことが出来た。