第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2022年11月6日(日) 14:10 〜 15:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-128-B] 多職種連携により在宅患者の服薬アドヒアランスが改善した症例

古田 舞, 玉置 睦子, 吉川 豊 (たんぽぽ薬局 (株))


【目的】超高齢社会の日本において、自宅で最期を迎えたい国民は 27.9%(厚生労働省 2018 年高齢期における社会保障に関する意識調査)を占めるとの報告がある一方で、自宅で最期を迎えた国民は 13.6%(厚生労働省人口動態調査 2019 年度)に止まるとの報告がある。病院や介護施設で最期を迎える人が多い中、薬局薬剤師が積極的に介入し多職種と連携することで在宅医療を進めることができている症例を報告する。
【方法】80 代夫婦(妻:認知症)に対しX年9月~X+2年5月の期間介入した。患者の自尊心を尊重し段階的に実施した。月2回の訪問と臨時訪問や電話フォローアップを合わせ、月2~5回の介入を行い、ヘルパーや訪問リハビリテーション専門員、ケアマネージャーに薬が飲めているかの声掛けを依頼した。またキーパーソンである娘に近況を確認した。
【結果】夫について、介入以前は定期薬(一包化)の残薬が 42 日分以上ありヒートで渡していた痛み止めは用法以上に服用していた。飲み忘れの原因は昼寝、食事の片づけ、妻の世話等であった。患者の生活状況に合わせて薬の配薬を工夫し、更に多職種と連携することで残薬はゼロとなった。正しい服薬により症状が改善したことで服薬アドヒアランスも向上していった。妻について、 薬の管理者である夫が服薬を忘れると妻も飲めない状況であったが、夫の服薬アドヒアランスが改善したことで残薬ゼロとなった。双方、服薬状況改善による副作用は見られず、現在も夫婦共に自宅で過ごすことができている。
【考察】薬局薬剤師による月 2 回の訪問と電話フォローアップのみでは、患者の服薬状況の確認には十分とはいえず、多職種や家族と協力することで状況に応じた対応が可能となり、患者の服薬アドヒアランス改善に繋がると考える。患者を中心とした多職種連携が、自宅で最期を迎えられる社会の実現に必要であると考える。