第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Sun. Nov 6, 2022 2:10 PM - 3:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-140-B] 外来がん化学療法における薬薬連携の充実化に向けた保険薬局の取り組み

肥沼 悦子1, 茶谷 雅文1, 玉井 臣弥2, 永野 悠馬2, 前田 守2, 緒形 富雄2, 市ノ渡 真史2, 長谷川 佳孝2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.(株)アインファーマシーズ アイン薬局 川口北店, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】安全かつ効果的な外来がん化学療法の実現に向けて、医療機関と保険薬局の連携の重要性が増している。今回、当薬局から医療機関に連携の充実化を働きかけ、がん患者の副作用に早期対応できた事例を報告する。
【事例】閉経後乳がんの60歳代女性(Stage IV、ドセタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ療法)。2コースday8に電話での服薬フォローアップ(以下、服薬FU)を実施し、手足症候群(以下、HFS)Grade2の発現とOTC保湿剤等の使用を聴取した。そこで、がん患者用トレーシングレポート(以下、がんTR)にて保湿剤処方を提案した。がんTRは、2020年8月の薬薬連携の充実化を目的とした当薬局からの提案を発端に、同年9月に医療機関と共同作成したフォーマットである。【緊急度】【レジメン】【共有内容】【提案】などを項目別に記入でき、医療機関との取り決めも補記され、情報提供の質的向上と均てん化が期待できる。3コースday1の来局時にHFS消失と保湿剤処方追加を確認したが、day8の服薬FUでHFS Grade3の発現を聴取した。患部撮影と保湿剤塗布を指示し、がんTRで外用ステロイド剤処方を提案した。4コースday1の来局時にHFS消失と外用ステロイド剤処方追加を確認し、day8の服薬FUでHFS がGrade1まで改善したことを確認した。全4コースを完遂した。
【考察】本事例から、当薬局から薬薬連携の充実化に向けて提案し、医療機関と共同作成したがんTRの運用が、外来がん化学療法に安全に貢献したことが示された。運用開始後に実施された医療機関主催の薬薬連携交流会で、当薬局からがんTRの運用状況を周辺保険薬局に報告したが、これからも医療機関や周辺保険薬局との連携を強化し、がんTRを活用して外来がん化学療法へ積極的に貢献していきたい。