第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 6, 2022 3:10 PM - 4:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-147-C] 外来がん治療患者フォローアップにおける有害事象の聴取項目数と高Grade事象把握との関連性の検証

菊池 俊裕1, 酒井 理恵1, 中西 正人1, 丸田 勇樹1,2 (1.(株)フロンティア フロンティア薬局日立店, 2.国際医療福祉大学大学院 薬学研究科 医療・生命薬学専攻)

【目的】安全ながん薬物療法の実施にあたり、薬局薬剤師は治療中の患者に対し適切なタイミングで電話フォロー(TF )を行い、アドヒアランスや有害事象等に関する情報を医療機関へフィードバックすることが求められる。本研究では、当薬局から処方元病院へのトレーシングレポート(TR )の内容を調査し、薬剤師が聴取したCTCAE v5.0 で分類される有害事象の種類数(以下「聴取項目数」)と、把握した有害事象の重症度との関連があるか否かを明らかにする。
【方法】2022 年 2 月 1 日~4 月 29 日の調査期間内に、外来がん治療後の初回 TF を行った 95 名の患者を対象とした。初回TF に基づき記入したTR 95 件の内容を精査し、TF 時に把握した有害事象の最高Grade により、対象患者を「なし」、「G1 」、「G2 」の 3 群に分け、それぞれの聴取項目数に差を認めるかクラスカル・ウォリスの検定により統計解析した。統計解析ソフトは、IBM SPSS Statistics 28®(日本 IBM(株)東京)を用い、有意水準は 5 %未満とした。本研究は茨城県薬剤師会倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:202102 )。
【結果】聴取項目数の平均は、全体では 5.18±2.22 であり、「なし」群では 4.57 ±1.98 、「G1 」群では 5.39 ±2.18 、「G2 」群では 6.60 ±2.41 であった。クラスカル・ウォリスの検定を行った結果、有意な差が得られた(検定統計量 8.05 ,<.018 )。各群間の差では、「なし」群と「G2 」群で有意な差が認められた。
【考察】TF 時の聴取項目数の多い患者ほど、高Gradeの有害事象を把握している傾向が認められた。このことは、近年クローズアップされている irAE 等について、TF 時の聴取項目数を増やすことで早期発見や適切な対処に繋がる可能性を示唆している。一方で、聴取項目数が増えると必然的に TF に要する時間が延長し、患者の体力的負担や、薬局薬剤師の業務負担増が懸念されるため、適切なバランスを見出す必要がある。