第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-154-A] 医薬品市場に対するスタチン類のオーソライズドジェネリック導入の影響

石村 淳, 猪爪 信夫, 松田 佳和 (日本薬科大学)

【目的】高齢化や医療技術の進歩に伴い、医療費が増加している。後発医薬品のシェアは、2012年に米国で80%を越えたが、日本においては2020年に78.3%となった。後発医薬品でありながら、製造にかかわる原料や設備が先発品と同一のオーソライズドジェネリック(AG)が日本において2013年に発売され、引き続いて様々な疾患領域でAGが発売された。本研究では、スタチン類のAGについての使用動向を調査し、後発医薬品市場への影響を検討した。【方法】2015-2019年度厚生労働省の匿名レセプト情報・匿名特定健診情報データベース(NDB)オープンデータを用いて、AG制度の導入に伴うスタチン類について後発医薬品処方量の年次推移を抽出・分析した。【結果】2017年に一般後発医薬品よりも3ヶ月先行してAGが発売されたロスバスタチンでは当初年度からAG処方が多く、2019年度ではAG処方率(51.0%)が一般後発医薬品(25.9%)の約2倍となった。一般後発医薬品の発売から4年後にAGが発売されたピタバスタチンでは、発売1年後におけるAG処方率が一般後発医薬品の5%程度であった。一方、AGが発売されていないアトルバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチンの後発医薬品への2019年度総処方変更率は66.0%-81.7%であり、AGが発売されたロスバスタチンとピタバスタチンの後発医薬品への総処方変更率(76.9%、69.0%)と同程度であった。【考察】先発医薬品メーカーに承認されて製造されるAGは、薬価が一般後発医薬品と同一となったが、必ずしも市場で高いシェアを占めていない。しかし、AG制度の導入は、後発医薬品市場に影響を与えるため、長期に渡るAGを含めた後発医薬品全般の使用動向を調査する必要がある。