第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2022年11月6日(日) 15:10 〜 16:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-195-C] 患者副作用報告の促進にあたり薬剤師は支援者となり得るか?‐質問紙調査の結果から‐

北林 アキ1, 十万 佐知子2, 井上 悠輔3 (1.東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻, 2.武庫川女子大学薬学部, 3.東京大学医科学研究所 公共政策研究分野)

【目的】
副作用報告制度による製造販売後の情報収集は、医薬品の安全かつ適正な使用のために重要である。その報告者として、製薬企業や医療従事者に加え、新たに患者も加わったものの、他の先進国に比して患者からの報告の実績は大きく低迷している。我々は、この打開策を検討するべく、患者・市民への情報提供や行動をはたらきかける機会を持ちうる薬剤師を対象として、制度に関する認知や賛否等を調査した。
【方法】
調査の対象は保険薬局及び病院に勤務する薬剤師とし、日経メディカルOnlineパネルに調査モニターとして登録している薬剤師(1200名)に対し、2022年2月14日から2月26日の13日間、同社のウェブツールを通じた自記式質問紙調査を実施した。研究者は参加者の個人情報を扱わず、回答者は調査の目的を基に自由に参加を決定でき、調査をいつでもやめられる権利を持つことを知らされていた。
【結果】
保険薬局薬剤師316人、病院薬剤師281人から回答を得た。患者副作用報告制度については、7割超が「聞いたことがある」と回答し、制度へ賛同した割合は6割超であった。コロナ禍の影響として、コロナ禍以降に副作用報告を患者・市民に勧めたくなったかを質問したところ、「どちらともいえない」との回答が半数以上であった。患者・市民の副作用の経験を医薬品の評価や副作用対策に活用するために薬剤師ができることを自由記載で質問したところ、患者への情報提供、普段からのコミュニケーション、患者からの情報の聴取に関する回答が多く見られた。
【考察】
普段から市民との接点を持つ薬剤師は、市民からの副作用報告を支援する立場になりうる。一方、制度に賛同しなかった者が3割強存在したことも注目される。また、副作用報告に関する患者・市民への働きかけについて、薬剤師の姿勢へのコロナ禍の影響は限定的と推察された。報告制度の課題の抽出と薬剤師の関与のあり方を考える取り組みが引き続き必要である。