第16回日本薬局学会学術総会

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シンポジウム

シンポジウム1
「保険薬局でもできる研究・学会発表」

Sat. Nov 5, 2022 1:30 PM - 3:00 PM 第1会場 (3階 メインホール)

座長(オーガナイザー):岩城 正宏 (「薬局薬学」編集委員長、近畿大学薬学部 学部長・教授、近畿大学薬学総合研究所 所長、近畿大学アンチエイジングセンター センター長), 副座長:長谷川 佳孝( (株)アインホールディングス 医療連携学術部 次長)

[SY1-1] 保険薬局での研究活動を振り返って

阿部 洸大 ((株)アインファーマシーズ アイン薬局遠軽店 薬局長)

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 私が「研究」に携わるきっかけは、新入社員研修で「日々の業務で生じる疑問は研究すべき価値のあるもの」と聞いたことです。残念ながら、店舗配属された当初は、日々の業務に追われて、研究に挑戦する余裕がなく、その時間も確保できませんでした。しかし、入社3年目の全体研修にて、再び研修課題として「研究テーマの立案」に取り組む機会があり、日々感じている「どのようにしたらヒヤリハットを軽減できるのか」「今より外来薬物治療に貢献するためにはどうすればよいのか」などの疑問やアイデアが、研究の題材となることを具体的に知りました。そこで、ソーシャルネットワーキングサービス(以下,SNS)についての疑問点を研究題材として取り上げたところ、「研究」を行う機会を得て、エビデンスに乏しい情報が拡散される恐れがあるSNSを信用する患者背景を明らかにし,薬局薬剤師がその是正をはたらきかける重要性を示唆することができました。自身の関心事に対する研究は大変有意義に感じ、入社当初は「研究の時間など確保ができない」と思っていたにもかかわらず、工夫により時間を捻出できることは不可能でないことを知りました。また、一人や店舗単独では出来ないような大規模調査を経験できたことで、会社の仲間に協力してもらっている事実がとても励みとなり、感謝の気持ちにもつながりました。
 当社では、専門部署が「研究の基礎」から「アンケート等の調査方法」「データの統計解析」に至るまでわかりやすく説明した資料を提供し、社内学会では学会発表の手解きする講演も行われています。また、研究を実施するスタッフに担当者がマンツーマンでサポートする体制が構築されています。そして、社外の学会だけでなく、社内学会で研究成果の発表に挑戦できる機会が設けられています。これらのおかげで、初心者でも研究に取り組むことができ、実際に研究に疎かった私も、学会発表だけでなく論文投稿にも挑戦することができました。「薬局薬剤師は病院薬剤師に比べて臨床研究できない」という印象がありますが、私が今回の研究を通じて経験したように、常に問題意識をもって業務に主体的に取り組み、会社のサポート体制を活用することで、保険薬局でも臨床研究に取り組むことができると考えます。