第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム2
「専門医療機関連携薬局の未来図」

2022年11月5日(土) 15:10 〜 16:40 第1会場 (3階 メインホール)

座長:縄田 修一 (昭和大学病院 薬剤部 課長/昭和大学薬学部 准教授), 座長(オーガナイザー):下川 友香理(総合メディカル(株) 学術情報部 部長)

[SY2-4] 病院薬剤師から専門医療機関連携薬局への期待

市倉 大輔1, 2 (1.昭和大学横浜市北部病院 係長, 2.昭和大学薬学部 病院薬剤学講座)

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がん患者に対する薬物療法は、以前はそのほとんどが入院期間中に実施する入院治療であった。現在は抗がん剤の副作用を和らげる薬剤や治療法の進歩、および患者の生活の質(Quality of Life:QOL)を重視する考え方から、がん薬物療法は外来で通院しながら実施する外来治療へ移行してきている。外来治療は通常の日常生活や社会生活を続けれられるなどメリットがある一方、自宅で副作用対応を自力でしなければならないなどデメリットもある。
 外来治療を受けるがん患者をサポートするためには、病院薬剤師と薬局薬剤師との連携が重要であり、情報共有のために様々な方策がとられている。病院側からはホームページでのレジメン公開、お薬手帳の活用(治療内容シールの貼付)などが挙げられ、薬局側からはテレフォンフォローアップ、トレーシングレポート、ホットラインなどが挙げられる。情報共有の場としては、勉強会や研修会などを定期的に開催していくことも必要である。
 がん患者が安全に外来治療を継続するためには、自宅での副作用対応をいかにサポートできるかにかかっており、副作用を早期発見し早期対応することが医療従事者には求められる。そのためには、受動的に患者からの連絡を待つだけでなく、能動的に医療従事者から患者情報を取りに行くことが必要となるため、薬局のテレフォンフォローアップは外来患者情報を収集するうえで効果的な手段といえる。さらに、そこから得られた情報を病院にフィードバックするトレーシングレポートやホットラインは情報共有のうえで有用な手段といえる。これらの手段を円滑に運用するためには病院薬剤師と薬局薬剤師のコミュニケーションが必要不可欠であり、双方向に顔の見える薬薬連携を構築しておくことが大切と考える。
 収集した情報(主観的:Subjective、客観的:Objective)に対しては、患者の問題点を抽出したうえで評価(Assessment)および治療計画(Plan)を行うことが必要である。そのため、テレフォンフォローアップではSOAP形式を意識した情報収集が求められ、トレーシングレポートやホットラインでは評価・治療計画を意識した情報提供が望まれる。そして、フィードバックは一方向で終わらせず、病院薬剤師と薬局薬剤師の双方向で行い、お互いの考えのすり合わせ常に行うことが大切である。その繰り返しがより良い情報提供・治療提案に繋がるものと考える。