第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム4
「薬機法改正に伴う薬局・薬剤師の役割(位置づけ)の変化」

2022年11月5日(土) 14:40 〜 16:40 第2会場 (5階 国際会議室501)

座長(オーガナイザー):永冨 将寛 ((株)トータル・メディカルサービス 代表取締役専務/(株)永冨調剤薬局 専務取締役), 冨松 理沙 ((株)さかきばら薬局 取締役)

[SY4-3] 服用期間中フォローアップによる医療貢献の可能性

石井 僚1, 2 (1.一般社団法人 日本保険薬局協会 特任部長, 2.(株)アインホールディングス 経営企画室 企画戦略課)

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 平成27年に厚生労働省が作成した「患者のための薬局ビジョン」において、「令和7年までにすべての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つことを目指す。」という目標が掲げられている。また、かかりつけ薬剤師の業務として明記されていた調剤後の服薬状況の把握、指導等に関して、令和元年の薬機法改正の中で「調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合には、患者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない」旨が規定され、令和2年9月より義務化された。さらに、令和4年7月、薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループにおけるとりまとめにも「調剤後のフォローアップは、適正使用の推進、服薬アドヒアランスの向上、受診勧奨、医療機関へのフィードバック等の効果が期待されるものであり、今後、より充実させていくべき」と明記された。
 日本保険薬局協会では、「薬局薬剤師が地域におけるチーム医療の中で、継続的な薬学的管理を担い、治療・処方作成のサイクルに持続的に関わることで、治療効果の最大化及び医療費抑制に貢献することが期待できる」と考え、令和2年1月に「地域医療における継続的な薬学的管理イメージ」を作成、服用期間中フォローアップと医療連携を薬局薬剤師の基本的な業務として位置付けている。
 当協会の令和4年2月の調査では、現在、9割超の薬局にて服用期間中フォローアップが実施されていた。服用期間中フォローアップ1件当たり、平均6.6分、処方医等への情報提供に平均10分以上の時間を要しており、さらなる推進にあたっては、服用期間中フォローアップと医療連携の時間を捻出することが課題となると推察される。また、令和2年8月に実施した「服用期間中フォローアップ事例と成果の収集」では、282薬局より525事例が報告され、そのうち、医療連携により処方変更となった245事例を薬効分類別に集計した結果、幅広い薬効分類において、処方変更が報告されており、服用期間中フォローアップによる医療貢献が特定の薬剤や疾患に限定されないことが示唆された。
 本シンポジウムでは、上記のような薬局薬剤師の服用期間中フォローアップにおける成果や課題を確認することを通じて、さらなる医療貢献の可能性について考えたい。