第17回日本薬局学会学術総会

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優秀演題候補セッション

優秀演題候補セッション2

Mon. Oct 9, 2023 9:30 AM - 10:20 AM 第4会場 (2号館2階 会議室224)

座長:灘井 雅行(名城大学薬学部 薬剤学研究室 教授),副座長:長谷川佳孝((株)アインホールディングス 医療連携学術部 次長)

[AW-07] 薬局薬剤師によるがん領域における服薬情報等提供書の送付に関わる要因

松本 憲昭1,2, 水野 智博2, 相宮 幸典1,2, 榊原 幹夫1, 杉浦 伸哉1, 間瀬 広樹3 (1.(株) スギ薬局, 2.藤田医科大学 医学部 薬物治療情報学, 3.独立行政法人国立病院機構 榊原病院)

【目的】
これまで、薬局から病院に対する情報提供の方法として、服薬情報等提供書(トレーシングレポート, 以下TR)の利用が進んでいないことが報告されている。そして、TRの送付に至る要因についても、詳細は明らかになっていない。本研究では、アンケート調査により、がん領域のTRの送付に関わる背景要因を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2023年1月に全国の薬剤師を対象に開催したがん領域のLive型Web研修において、医療機関への情報提供等に関するアンケート調査を実施した。アンケート調査実施後、研修前の1カ月間にがん領域のTRを1枚以上送付している群と、送付していない群に分類し、各群の背景要因について単変量解析を実施した。
【結果】
118名の研修参加者のうち、アンケート回答なし、研究非同意、病院勤務、求職中、処方箋応需なし、回答不備を除いた93名の薬局薬剤師の回答について解析を行った。がん領域のTRを1枚以上送付している群、および送付していない群はそれぞれ21名、72名であった。TR送付に有意に関連していた背景要因は、「がん医療経験年数2年以上」、「がん領域の処方がある病院の門前・敷地内薬局への勤務」、「がん患者とかかりつけ薬剤師契約していること」、「がん領域の月間処方箋応需枚数」、「店舗薬剤師数」であった(p < 0.05)。次に、TR送付経験のある薬剤師は80名おり、その80名にTR送付を促進するための課題を尋ねたところ、「知識不足」、「時間不足」、「必要な情報不足」の順で回答が多かった。
【考察】
がん領域のTRの送付には、がん領域の症例経験や関連知識、がん領域の処方箋を日常的に扱うことができる環境が重要であることが明らかになった。また、TR送付を促進するための課題として、時間不足、病院・薬局間の情報共有不足が指摘されたため、Information and Communication Technologyを活用した情報共有システムの普及により、TR送付を促進できる可能性がある。