デザートセミナー2

[DS2] 『AIがワタシのそばにいる世界』をどう実現するのか

^○大谷 健 (日本マイクロソフト株式会社 クラウド＆ソリューション事業本部／インテリジェントクラウド統括本部 業務執行役員 統括本部長)

　日本だけでなく世界を席巻している「Chat GPT」は、日本語や英語などの自然言語を理解し、それに対して応答や文章を生成することができる言語生成AIです。「Chat GPT」をはじめとするさまざまなAIは、ビジネスシーンだけでなく、社会全体へ急速に広がっており、まさに世界の変革期ともいえる「AIの浸透」が加速度的に進んでいます。もはや、AIを使うか使わないかの議論ではなく、どう活用するかを考える段階に来ています。
　ビジネスの世界では、経営トップ層が自らAI活用を主導している状況が広がり、「Chat GPT」の火付け役であるマイクロソフトには、「AIを使って新しいことをしたい」という要望や相談が殺到していると聞いています。この背景には、学習済みのAIモデルをすぐに利用でき、追加学習をすればモデルを自社向けにチューニングできるなど、「Azure OpenAI Service」の利便性が増していることが挙げられます。
　また、入力したデータをモデルの再学習に使わない、外部インターネットから切り離して使えるなど、企業や利用者を守るセキュリティ面での取り組みも功を奏しているでしょう。
　医療の世界では、エックス線や心電図、内視鏡などの検査画像の「読影」にAIを用いた診断支援は有名であり、がんゲノム医療の一部にもAIが使われるなど、AIの利活用が浸透されつつあります。
　調剤の世界では、薬の在庫管理にAIを取り入れる事例をはじめ、少しずつAIの利活用が広がりを見せており、調剤の様々な領域で複数の企業が実証実験を重ねています。
　日常生活では、マイクロソフトの検索サービス「Bing」への生成AI導入をはじめ、各種クラウドサービスやビジネスアプリに次々とAIが組み込みこまれつつあり、加えて、日本政府がChat GPTを取り入れるという報道も記憶に新しく、「AIがワタシのそばにいる世界」は、すぐそこまで近づいてきています。
　一方で、AIに対して漠然とした不安を抱く方がいることも事実です。
　AIを当たり前のように使う日常が訪れたとして、その先に待つのは、AIに仕事を奪われ人間が脅威を感じるようなSF映画のような未来なのか、それとも、人間の活動をさらに進化させQOLを高めるパートナーとなるような世界なのか、果たして人間はAIをどちらに導くのか。
　本演題では、AI市場をリードしている日本マイクロソフトの大谷氏をお迎えし、この命題ともいえる問いに対して、「Chat GPT」をはじめとするAIの現状と未来、また、事例などを用いて、わかりやすくお伝えしたいと考えています。
　Chat GPT世界を席巻しているマイクロソフトが考える人間とAIの関係を題材に、調剤の現場へ、AIをどのように導入していくのか、きっかけになれば幸いです。