[DS5] 人生100年時代の脆弱性骨折対策
我が国は超高齢社会に突入し、平均寿命は男性で81.47歳、女性で87.57歳となり、人生100年時代と言われるようになっている。それに伴い元気で生活するために健康寿命の延伸が注目されている。運動器の障害は要介護要支援の方の多くを占めており、特に骨折は治療後の日常生活動作の著しい低下を引き起こす。骨脆弱性を惹起する骨粗鬆症は、骨強度の低下を特徴とし骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患、としてNIHで定義されている。1982年のカルシトニン製剤の我が国での発売をから2001年のアレンドロネートの発売をへてこれまで多くの骨粗鬆症治療薬が処方できるようになった。骨密度の増加作用と骨折抑制効果により脆弱性骨折の減少を期待しているが、そもそも骨粗鬆症治療の基本はカルシウムとビタミンDの摂取である。我が国はビタミンDの充足率が低く、食物からの十分な摂取ができない場合はビタミンD製剤が必要となる。各国の骨粗鬆症治療指針でもカルシウムとビタミンDの摂取は治療の基礎として指摘されている。本講演では、原発性骨粗鬆症及び閉経後骨粗鬆症に加えて続発性骨粗鬆症の代表であるステロイド性骨粗鬆症に関して診断と治療をお話しする。そして最近のSociety 5.0における骨粗鬆症診療や脆弱性骨折予防に関しても触れる予定である。