第17回日本薬局学会学術総会

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ランチョンセミナー

ランチョンセミナー1

Sun. Oct 8, 2023 11:40 AM - 12:40 PM 第1会場 (1号館2階 センチュリーホール)

座長:井口 和弘(岐阜薬科大学 薬局薬学研究室 教授)

共催:NPO法人 医療教育研究所/㈱マルクリーン

[LS1] 薬局における感染対策の基本とさじ加減

高山 和郎 (東京大学医学部附属病院 薬剤部)

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 2020年のCOVID-19パンデミックから4年目となる今、感染対策を意識していない薬局は皆無といってよいだろう。しかし、パンデミック当初と比べるといかがだろうか。少し緩めていること、全く緩めていないことなど、状況によって変化していることだろう。私たち薬剤師は、患者に行われる薬物治療をその患者の様々な状況を考慮して個別最適化を行っています。まさに、患者の状態に応じて薬をさじ加減していると言えるでしょう。感染対策も同様なのです。病院には医療法に基づく様々なルールがあり、2大指針と言われる医療安全管理指針と院内感染対策指針を策定し取り組んでいかねばならない。院内感染対策チーム(ICT)が組織され、医療職も事務職も清掃職員もすべての職員が感染対策の教育を継続的に受け、感染対策の実践に取り組んでいる。近年は地域医療における制度的な部分も変わりつつあり、令和4年度診療報酬改定にて外来感染対策向上加算が新設され、地域の診療所における感染対策にフィーがつくこととなり、地域医療における感染対策のボトムアップが診療報酬上でも図られるようになってきた。いずれは薬局にもその流れが来るのではなかろうか。
 さて、薬局での感染対策に焦点をあててみよう。冒頭の感染対策のさじ加減を行うには基本となるルールを知っていてさらにそれを行動に移さねばならない。感染対策の世界標準のルールは理解し、実践できているだろうか。病原微生物がいようがいまいが、コロナだろうが何だろうが、標準予防策の実践が感染対策の基本であることは変わらない。標準予防策は、すべての患者に対して行うとされる感染対策だが、薬局においても来局するすべての患者に対して行うべき対策となるものである。さて、薬局では何をすればよいのだろうか。言葉では知っていても行動しなければ全く意味がないのが感染対策である。
 そこで、本セミナーでは薬局で対応するすべての患者に対して行う標準予防策を今一度考えてみるとともに、手指衛生、消毒、個人防護具などの基本と薬局業務で想定される感染対策のさじ加減についても触れたいと思う。医療提供施設には必須である感染対策の重要性を再認識いただく機会になれば幸いである。皆様が薬局で行う感染対策の行動変容につなげたい。