第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

ランチョンセミナー

ランチョンセミナー3

2023年10月8日(日) 11:40 〜 12:40 第3会場 (2号館1階 展示室211+212)

座長:山田 清文(名古屋大学医学部附属病院 教授・薬剤部長)

共催:第一三共㈱/第一三共エスファ㈱

[LS3] 認知症の診断・治療~物忘れ外来(19年間)の経験から~

丸木 雄一 (社会福祉法人 シナプス 埼玉精神神経センター 理事長・センター長)

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 我々は2004年1月から物忘れ外来を開始。2009 年さいたま市から認知症疾患医療センターを受託、以後さいたま市の認知症ネットワークを地元医師会、地域包括支援センターを中心に構築・発展をさせています。
 今回は最新の認知症の現状として2022 年度の物忘れ外来初診患者760名の分析を中心に治療を含め報告いたします。
 外来初診患者760例中男性274例,女性486例。年齢は37~97歳。症例の多い順ではアルツハイマー型認知症ADは371例48.8、平均年齢80.8歳、女性の割合が70%、MCIは144例(18.9%)、平均年齢79.8歳、女性の割合が58%、正常圧水頭症(iNPH)52例6.8%)平均年齢80.2歳、女性の割合が54%、レビー小体型認知症DLB38例(5.0平均年齢 80.3歳、女性の割合が66%、脳血管障害性認知症(VADは28例3.7、平均年齢75.3歳、女性の割合が43%、前頭側頭型認知症(FTD8例1.0、平均年齢71.2歳、女性の割合が37%でした。過去19年と比較するとADは著変なし、iNPHが大幅に増え、DLBも増加傾向。軽度ADならびにMCIにおいては今年の後半に上市される可能性が高いレカネマブの対象疾患になるので新たな対応が必要になると考えられます。また、メマンチンを始めとした従来の4薬品に加え本年4月から使用可能となったドネペジルの貼付薬の使用経験も述べます。iNPHは年々増加が認められ、診断されたほぼ全例が taptestを施行、その7割がshunt術に移行できました。今後も各医療機関でiNPHの診断を見逃さず、積極的な診断を行う必要があると考えられました。DLBと診断されたケースにおいては正しい診断・内服治療で、最も改善効果が期待できる認知症であるために正しい診断を行う価値があると考えられます。若年性認知症の代表でもあるFTDは診断したのちのBPSD対策に苦慮する疾患です。
 診断・外来治療においてBPSDなどで対応困難ケースにおいても、対応を行う事が認知症疾患医療センターの使命と考え、我々は「さいたま市認知症疾患医療センターは認知症患者様・ご家族のかけこみ寺・最後の砦として機能いたします」 をスローガンに頑張っております。