第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-012-C] 高齢患者が多く来局するキョーワ薬局港店におけるトレーシングレポートの現状と高齢者服薬支援の課題

鬼頭 彩香1, 高尾 雅春2, 浅井 雅浩2 (1.キョーワ薬局 港店, 2.協和ケミカル(株) 人材開発部)

【目的】
キョーワ薬局港店では患者とのやりとりを通じて得た情報を、トレーシングレポート(以下、TR)を通じて医師と共有し、患者の生活に寄り添った薬物治療を提案できるよう心掛けている。当薬局では65歳以上の高齢者来局患者が69.9%を占めている現状であり、高齢者医療への薬剤師としての貢献を模索している。本研究では高齢者のTRの報告件数や提出内容の分析を通し、今後の課題を検討した。
【方法】
2022年4月から2023年3月までの1年間に、当薬局から薬剤師が必要と判断し医療機関や介護施設へ提出したTRの件数を調査し、情報提供の内容を項目ごとに集計した。
【結果】
期間中のTRの件数は148件、うち65歳以上の高齢患者が対象のものは137件(約93%)。高齢患者対象のTRの内訳は服薬状況・残薬について86件(約63%)、症状について17件(約12%)、副作用について16件(約12%)、他科受診・併用薬に関すること8件(約6%)、検査値に関連することが8件(約6%)、その他2件(約2%)であった。また、服薬状況・残薬についての86件のうち、認知機能低下の影響が考えられるものが23件(約26%)あった。
【考察】
TRの件数はそのほとんどが高齢患者を占めており、高齢患者により多くの介入が必要であることが示唆された。
服薬状況・残薬についてのTRが多いのは、認知機能の低下により飲み忘れや飲み間違いが増えることが結果からも考えられ、高齢者の服薬を補助、支援する方法が必要であると考えられる。
一方で副作用や併用薬、検査値といった薬剤師の職能が発揮できるTRの件数はまだまだ少ない。高齢者が自らこれらの情報を把握するのは困難も考えられ、ここにも薬剤師が介入し、高齢者服薬支援につなげていくための課題があると考える。