第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-027-C] かかりつけ薬剤師による健康被害防止症例報告

藤井 健次, 茶谷 有紗, 北村 元 (ウエルシア薬局(株))

【目的】
医薬分業の進展等により、薬剤師及び薬局を取り巻く環境は大きく変化し、より対人業務の強化が求められている。その一つであるかかりつけ薬剤師は、薬局薬剤師として重視すべき取組の一つである。
ウエルシア薬局大和高田大中東店では、かかりつけ薬剤師への取り組みに昨年より積極的に取り組んでいる。今回は、患者背景に基づき、健康被害等防止できた症例について報告する。
【症例】
トレーシングレポートを用いて医師と情報共有した結果、タモキシフェンとパロキセチンの併用解消について、症例の概要を次に示す。
40代女性、精神科でパロキセチン継続服用中であった患者が、他病院外科にて乳がんの手術を行った。乳がんの術後からタモキシフェンが追加処方された。精神科からはパロキセチンの他、レキソタン、デエビゴが処方されていた。
タモキシフェンはパロキセチンとの併用により効果減弱が予測される。精神科の医師にタモキシフェンが開始になったこと、相互作用によりタモキシフェンの作用減弱の可能性があるため、パロキセチンをCYP2D6阻害作用の少ないSSRI(エスシタロプラムまたはセルトラリン等)へ代替できないかとトレーシングレポートにて提案したが、吐き気の副作用のためパロキセチンを患者が自己調整し週1回程度しか服用していなかったことも伝えた結果、一度パロキセチンを削除して様子をみることとなった。その後パロキセチンを削除して経過を観察しているが現在のところ精神症状は安定している。
【考察】
タモキシフェンの効果が減弱すると、乳がん再発リスクが高まることからCYPを介したパロキセチンとの相互作用による問題を見つけられたことは重要なことであったと考えられる。この患者は複数医療機関を受診しており、かかりつけ薬剤師による薬剤一元管理が、患者様の治療に貢献できた一例であったと考えられる。