第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2023年10月9日(月) 14:50 〜 15:30 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-036-C] 服用期間中のフォローアップの結果から見る薬局薬剤師が果たす処方適正化への効果

山口 奈々 (龍生堂薬局 大久保店)

【目的】
薬剤師業務が対物から対人へ急速に転換が進む昨今、対人業務の1つに服用期間中のフォローアップ(以下,フォロー)と得た情報への医師へのフィードバックがあるが、その行動が患者の処方にどのような影響を及ぼしているかを検証した報告は少ない。本研究ではフォロー及びフィードバックの結果を解析することで、薬剤師が対人業務において果たすべき役割について検討する。
【方法】
龍生堂薬局大久保店において2022年9月~2023年4月の期間に服薬指導を行った患者を対象にフォローを実施。フォローを行った患者から、フォローにより得た情報を収集。服薬情報提供は患者からの服用状況・経過確認、副作用及び相談に対して実施し、処方提案を行った件数とその結果について分析を行った。
【結果】
期間内に実施した総フォロー数は539件。フォローで得た情報は、問題なく服薬できた事例479件(89%)、副作用・改善なし・服薬状況に課題有等の情報が得られた事例60件(11%)であった。医師に服薬情報提供した事例288件に対し、処方変更を提案した事例49件、うち処方変更が実施された事例は20件(40%)であった。また、フォロー後に副作用報告に患者が来店したケースが1例みられた。
【考察】
患者からの自発的な相談連絡はまれであるが、潜在的に副作用や相談事項を有する患者が存在することがわかった。薬剤師の処方提案の40%が処方変更に繋がったことから、薬剤師のフォローは介入が必要な患者の早期発見につながり処方適正化に重要な意味を持つことが示唆された。また、継続的なフォローが患者の行動変容につながった症例もあり、薬識強化、服薬アドヒアランス、コンプライアンス向上に影響を及ぼし得るといえる。フォローにより問題や不安が生じた患者に早期に対応することは処方適正化のみならず、患者本位の医療の実現に効果があると考えられる。