第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-039-C] かかりつけ薬剤師による患者情報の一元管理が患者の病状悪化を防いだ1例

西内 康子1, 永野 悠馬2, 市ノ渡 真史2, 長谷川 佳孝2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.アイングループ(株)アインファーマシーズ アイン薬局 旭川医大店, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】
2015年に厚生労働省が策定した「患者のための薬局ビジョン」の中で、薬局薬剤師はかかりつけ機能を発揮することで患者の服薬情報や副作用状況等を一元的・継続的に管理し、安全かつ効果的な薬物治療を実現することが求められている。そこで、薬局薬剤師によるかかりつけ機能の発揮が患者の病状悪化を防いだ事例から、薬局薬剤師が果たすべき役割を検討した。
【事例】
患者は80歳代女性で、内科にて糖尿病、骨粗鬆症、下肢の冷え等の末梢神経症状、脳梗塞術後等の治療を行い、眼科にて白内障術後の定期受診を行っていた。眼科受診時に眼底出血が見つかったことを患者と介護職員から聴取した薬局薬剤師は、服用中のベラプロスト錠80µg/日とアスピリン・ランソプラゾール配合錠が眼底出血に悪影響を及ぼす恐れがあることを内科医師へ伝えた。同時に、ベラプロストの継続必要性と眼底出血への悪影響を検討した結果、ベラプロスト錠の減薬も提案した。次回受診時にベラプロストの処方は削除された。2週間後、薬局薬剤師は、電話で「患者の下肢の冷えに悪化はないが、継続していること」を確認した。そこで、眼底出血に影響しない八味地黄丸等漢方薬の処方を内科医師に提案し、次回処方時に追加された。
【考察】
本事例では、薬局薬剤師がかかりつけ機能を発揮して、複数受診科に及ぶ患者の服薬情報や病状等を一元的・継続的に管理したことで、薬剤起因の病状悪化の防止に貢献した可能性が示唆された。したがって、薬局薬剤師は、複数受診科に及ぶ薬学的管理はもちろんのこと、フィジカルアセスメント等による病状やQOLの変化に至るまで一元的・継続的に把握できるように患者との信頼関係を構築し、より一層のかかりつけ機能の発揮をもって安全かつ効果的な外来治療の継続に貢献する必要がある。