第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2023年10月9日(月) 14:00 〜 14:40 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-062-B] VASアプリケーションを用いた服薬管理の有用性調査

原田 義主1, 田中 紫茉子2, 須田 莉央2, 轟 涼介2, 中谷 絵理子2, 原 和夫1, 黄倉 崇2 (1.(株)わかば, 2.帝京大学)

【目的】
服薬管理では患者の症状、薬効、副作用の確認が必須であるが患者の表現で情報の質や量の評価にバラツキが生じ経時的変化を観察する上で問題となる。そこで客観的に継続評価を行う目的でVAS (VisualAnalogueScale)を利用する事とした。VASは通常紙面で行う為管理や質問を自由に変えられない等の課題がありこれを解決する為アプリケーション(以下VASアプリ)を開発した。VASアプリは複数の患者情報を一元的に管理可能で患者毎の質問を経時的に把握する事が出来るが実臨床では使用経験がなく本研究ではVASアプリの有用性、利用可能性を明らかにする為弊社社員へ調査を行った。
【方法】
iPadにVASアプリをインストールし弊社在籍の薬剤師・事務員を対象に実際に操作してもらい無記名の使用調査を行った。薬剤師へは患者対応時に状態把握を困難に感じた事、VASアプリの操作や患者の訴える状態把握への有効性等について質問し、事務員へは医療事務の視点で薬剤師がより患者状態を把握する事が可能かを質問した。共通質問項目として患者の使用する操作性、汎用性を調査した。
【結果】
有効回答数は薬剤師85名事務員70名だった。薬剤師への質問で「服薬指導で状態把握が困難と感じた事がある」と回答したのが82名、「VASアプリを活用することで薬効を口頭のみより詳しく把握出来る・おそらく出来る」と回答したのが64名、「VASアプリを活用することで副作用を口頭のみより詳しく把握出来る・おそらく出来る」と回答したのが70名であった。また服薬管理を行う上で患者状態把握が困難と感じた事がある薬剤師が多い事もわかった。
【考察】
患者への聞取りを口頭だけでなくVASアプリを合わせる事で自由な質問設計や薬効・副作用等を客観的かつ経時的に評価する可能性が示された。今後は様々な患者の使用に向けVASアプリを用いたモニタリングをし、薬物治療に対して経時的な状況把握を行い服薬指導の質向上に繋げたいと考える。