第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-069-C] 2型糖尿病患者に実施した食事療法に関する理解度調査およびその後の薬剤師による食事指導がHbA1cの改善に有効であった事例

林 宜亨, 高橋 希実, 佐藤 雄一 ((株)フロンティア フロンティア薬局中の島店)

【目的】
2型糖尿病の治療において、適切な食事療法は重要である。多くの2型糖尿病患者は、院内にて管理栄養士から栄養指導を受けているが、服薬指導において、患者が食事療法について正しく認識していないケースに直面することも稀ではない。このようなケースでは、薬剤師が服薬指導に加えて、食事に関する一般的なアドバイスを付加的に実施することが重要である。今回、2型糖尿病患者に対して、アンケート用紙を用いて食事療法に関する理解度調査を実施し、その後の服薬指導に活用した結果、HbA1cが改善した事例について報告する。
【事例】
アンケートは、富永らの報告(糖尿病64 (1) : 8-18, 2021)を元に内容を一部改変・追加した記述(20項目)の正誤を判断するクイズ形式とした。平素より当薬局を利用している80代男性の2型糖尿病患者(HbA1c: 7.4、処方内容は前回と同一)に対し、同意を得てアンケートを実施した。正答率は60%(20項目中12項目正解)であった。不正解の項目を中心に、食事指導を実施し、さらに正しい記述の回答用紙(説明付き)をお渡した。アンケート実施後35日目の来局時におけるHbA1cは6.9に改善していた。また、アンケート実施後の食生活に関して、糖質摂取の是正(果物やせんべいなどの間食の低減)および積極的な食物繊維(野菜)の摂取を実施していることを確認した。
【考察】
本事例において、クイズ形式のアンケートを用いることで、食事に関する患者の理解度を効率的および的確に把握でき、適切な食事指導の実施に繋がった。また患者自身が、現在の自分の理解度を目の当たりにすることで、その後の意識および行動に変化が認められ、短期間でのHbA1c改善に繋がったと考える。今後は、さらに多数の患者を対象にアンケートを活用した食事指導を積極的に実施し、調剤薬局における薬剤師による食事指導の有効性について検証していきたい。