第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-090-C] 待ち行列理論を活用した調剤業務時間と患者待ち時間推定と実測定による薬局対人業務効率性の考察

松本 雄一1, 堀 英生2, 鈴木 匡2 (1.(株)スギヤマ薬品 スギヤマ調剤薬局尾張旭店, 2.名古屋市立大学大学院薬学研究科)

【目的】
処方箋調剤にかかる時間は、応需する処方箋の内容が均一でなく、処方内容や患者の必要性等に応じて大きく異なるために、これまで詳細に検討されていない。また処方箋調剤を行う際の適正薬剤師人数についての理論的な算出も検証されていない。
そこで、処方箋を応需した際に、必要となる作業時間の実測定を行い、「待ち行列理論」より調剤の作業効率の理論値を算出し、調剤の効率化を目指す適切な薬剤師人数指標について考察した。
【方法】
受付、調剤、監査、服薬指導の4つの業務に分け、それぞれの作業時間を実測定した。その後、業務毎に平均の作業時間を算出し、その加重平均をとって平均作業時間とした。処方箋受付をポアソン到着と仮定して、実測定時間を使って受付から呼出までの「患者待ち時間」と「作業率」を「複数窓口の待ち行列理論」で計算することにより、適切な薬剤師の人員指標を算出した。
【結果】
平均の各業務作業時間は、実測で受付65秒、調剤107秒、監査162秒、服薬指導157秒となり、平均作業時間の合計は、491秒であった。この実測値から計算した患者待ち時間は451秒となり、実際の患者待ち時間479秒と差がほとんどなかった。また、作業率の算出から監査・服薬指導業務の薬剤師人員が、作業率0.5未満(薬剤師1人あたり5.6回/時)が目安となり、多い時でも作業率0.7を超えない(薬剤師1人あたり7.9回/時)人員が適切であると考察され、調剤における人員指標を提示することが出来た。
【考察】
処方箋調剤において、総作業時間における調剤の割合は、20%程度であった。監査と服薬指導の合計が、受付、調剤、監査、服薬指導を合計した時間の65%と半分以上を占めており、「対人業務」に携わる割合の影響が大きいことが明らかになった。その為この業務に携わる薬剤師の人員が不十分な場合には、患者待ち時間への影響が一番大きいことが示唆され、適正人数の指標でも影響していることが確認できた。