第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-135-C] 薬剤師による在宅患者の嚥下機能確認に関する現状調査と課題分析

原口 英里1, 松山 佳造2 (1.総合メディカル(株)そうごう薬局 ららぽーとTOKYO-BAY店, 2.総合メディカル(株))

【目的】
在宅訪問時に患者の状態だけでなく、嚥下機能についても把握した上で適切な剤型や服薬方法を提案することは薬剤師に求められる役割であり、多職種連携により最適かつ有効な服薬支援が可能となる。しかし、患者の嚥下機能の把握や多職種との連携は薬剤師個人のスキルに依存しており、実態は把握されていない。そこで本研究ではその実態を調査し、課題の分析を行った。
【方法】
2021年6月の時点で、これまでに患者居宅を訪問した経歴のある薬剤師69名を対象に、「薬剤師の背景」「嚥下機能の確認状況」「嚥下困難が疑われる際の対応」に関するアンケート調査を実施した。
【結果】
対象者69名全員から回答を得た。そのうち、42名(61%)が嚥下機能の確認をしたことがあると回答した。嚥下機能の確認方法は「患者自身に質問する」が32名(46%)、「医師に確認する」が5名(7%)、「看護師に確認する」が9名(13%)であった。また、嚥下機能の確認については回答者の42名(61%)が不安に思っており、「嚥下の実際を見られない」「確認方法が分からない」ことがその要因に挙げられた。嚥下評価に用いられるツールについては「全然知らない」と45名(65%)が回答した。一方で「嚥下困難が疑われる際に対策を実施した」と21名(30%)が回答しており、その内容は「嚥下補助製品の提案」と「薬剤変更の提案」などであった。
【考察】
今回の調査より、回答者の約4割が嚥下機能の確認を行っていないことや、約6割が確認できないことに不安を抱えていることがわかった。確認できない課題に対しては、「嚥下の実際を見られない」といった患者側の要因については関与が難しいが、「ツールの活用」や「多職種での情報共有」を進めることは可能であると考えられる。今後、薬剤師が在宅患者の嚥下機能の把握を効率的に行う方法を検討・実施していくことで、在宅患者の服薬アドヒアランス向上とQOL維持に貢献できることが期待される。