第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-141-C] 居宅訪問患者の服用困難状況を多職種連携により改善した一例

佐藤 玲香, 中田 幸宏, 高渕 沙織 ((株)なの花東北 なの花薬局 津軽新城店)

【目的】
居宅訪問管理を行う患者は、複数疾患の合併から多数の薬剤を服用する高齢者が多く、医師の処方通り服用を継続することが難しい場合がある。今回、本人が服薬しやすいように処方提案し多職種連携により服薬状況が改善した症例を報告する。
【症例】
90代、男性、独居、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、前立腺肥大症
キーパーソン:娘(他県在住)
【経過】
X年3月。A内科とB泌尿器科へ受診しており、一人での管理が不十分となり内科から訪問指示を受け開始。毎食前後の6用法14種類(15錠)を服用中であった。2科合同の一包化を実施していたが、患者の希望で自宅内の仕切りのないBOXへ配薬していた。
X+1年4月。特に昼夕食前後は月の半数が服用困難で、用法を朝夕食前にまとめるよう2科へ提案し変更された。
X+1年11月。服薬確認の為服用後に暦へ印をつける提案をしたが、継続運用には至らなかった。
X+2年4月。サービス担当者会議にて朝食前のみに統一すること、お薬カレンダーの運用を提案した。また2科Drに書面で処方提案を行い、内科、泌尿器科から1種類ずつ薬が減り、12種類(13錠)へ減薬及び用法変更となった。毎週月・水・金曜日のヘルパー訪問時に服薬の声掛け、火曜日の看護師訪問時にカレンダーの充填、娘さんの帰省時に充填を依頼した。
薬剤師は、月1回木曜日の訪問で残薬確認、カレンダー管理を実施した。毎日誰かが介入する状態を作る事で飲み忘れを月3回まで減少出来た。用法変更後もHbA1c6%後半、バイタル変動なく維持できた。
X+3年1月、死去。
【考察】
用法を統一し減薬したことで患者の負担を軽減できた。さらに多職種への働きかけをしたことで服薬状況の改善に寄与できた。一度で改善出来なくても患者と都度向き合いながら模索し続けることが大切である。また、多職種連携の重要性も学んだため、今後も問題点を共有・解決するために積極的な介入を行い、チームとして支える医療に貢献していきたい。