第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-159-C] 認知症患者のアドヒアランス低下をきっかけに在宅管理指導を開始した2事例

玉井 萌1, 稲田 孝史2, 浴中 優衣2 (1.(株)メディカル一光 フラワー薬局北ノ口店, 2.下鳥羽店)

【緒言】
薬局薬剤師は、患者の介護度による区分によらず幅広く患者の薬物治療に関与し続けるため、患者の変化を察知し、能動的に行動に移すことが可能である。今回、アドヒアランス低下が疑われる認知症患者に在宅訪問管理指導を提案し、改善がみられた2事例について報告する。
【事例1】
80代女性。薬を紛失したとの情報を得た薬剤師は、患者宅に訪問し残薬を確認した。医師に情報提供し、在宅訪問とデイサービスの活用につなげた。服薬カレンダーを用いて薬を整理、服用時点を揃えるなどの関与により、アドヒアランスが改善した。家族にも介入を試みたことで当初非協力的だったご家族の方が、認知症の進行に危機感を感じ、次第に協力的になっていた。ご家族と患者本人の関係が改善したことで、患者の受け答えがはっきりしてきた。
【事例2】
80代女性。予定通りに来局されない、血圧上昇のため医療機関から服用薬の照会があったため、患者宅に訪問し残薬を確認し、医師に情報提供し在宅管理指導を開始した。服薬カレンダーを用いて薬を整理したが、病識が低く、服薬拒否もあり、服薬状況は安定しなかったが、薬剤師提案による多職種からのアプローチでアドヒアランスの改善が見られた。医師やケアマネージャーに報告することで、デイサービスの活用につながった。
【考察】
認知症患者のアドヒアランス低下のサインに対し、薬局薬剤師が直ちに訪問して状況を把握する能動的な行動を起こすためにも、普段から何かあれば気軽に訪問できる関係性を構築しておくことも重要であると考える。今回の2事例は在宅訪問の提案自体は薬剤師からであったものの、そのアクションのきっかけを作ったのは医師であったことから、もう少し早く薬剤師から介入することも出来たと考えた。患者だけでなく、家族にも介入することの重要性を感じた。薬剤師だけで難しい状況では多職種を巻き込むことも有効であることを再認識した。