第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-207-C] ポートフォリオ手法を用いた薬局薬剤師教育の実態とその影響

藤井 草太, 佐々木 智道, 廣瀬 隆, 安江 美由紀, 清水 岳人, 角谷 志保里, 井川 愛, 鈴木 達彦 ((株)メディカルシステムネットワーク 薬局事業本部 薬局教育部)

【目的】
ポートフォリオは近年、医療者の臨床現場での学習支援ツールとして用いられている。しかし調剤薬局において導入された報告は少ない。そこで今回、薬局薬剤師を対象に卒後教育の一環として導入し、ポートフォリオの評価と臨床における対人業務実績の関連を調査したため報告する。
【方法】
当社に所属する2020年度新入社員87名を対象とした。ポートフォリオ作成および評価に使用するルーブリックは、日本プライマリ・ケア連合学会で用いられているルーブリックを参考に、 18の学習領域と目標を設定し作成した。2022年度末までに3例を提出させ、2名以上の評価者がルーブリックに基づきS・A・Bの3段階で評価した。評価者研修を行うことで評価者の標準化を行った。対人業務実績の指標は、地域支援体制加算の対人業務の中で最多の実績が求められていることから服薬情報等提供料1,2を用いることとした。
【結果】
対象の87名が2022年度に提出した3例目のポートフォリオのうち、S評価は12名、A・B評価は計75名だった。ポートフォリオ評価別の服薬情報提供料1,2合計算定数の平均値は、年間でS評価者40.7件、A・B評価者28.5件だった。
【考察】
ポートフォリオでS評価を取得した薬局薬剤師は、比して医療機関や家族への情報提供を多く行っている傾向が示唆された。ポートフォリオが各領域の学習目標達成を意識させ自己決定型学習の促進や臨床の質向上をもたらすという報告があり、当社のポートフォリオを用いた教育においてもルーブリックを使用して学習目標の達成を意識させた。その結果、因果関係は明らかではないが、ポートフォリオでS評価を取得した者は、対人業務への姿勢変容や臨床能力の向上によって服薬情報等提供料1,2の算定増加に繋がった可能性があると考える。今後も、薬局薬剤師の卒後教育の効果的な手段を模索すべく、長期的な分析と評価を行っていく。