第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション
「認知症の口腔ケアを考慮した在宅治療」

2023年10月9日(月) 14:20 〜 15:50 第1会場 (1号館2階 センチュリーホール)

ファシリテーター:玄 景華(朝日大学 教授,)日比野 泰章(たんぽぽ薬局株式会社 執行役員 薬局事業本部 副本部長 経営企画室 室長)

[PD-5] 認知症の口腔ケアにおける薬剤師の役割~多職種連携の中で~

鈴木 佳代 (たんぽぽ薬局株式会社 薬局事業本部 第二業務運営部 第9エリア 千早店 薬剤師(認知症研修認定薬剤師))

photo
 厚生労働省の高齢社会白書によれば、2025年度には我が国の高齢化率は30%台に乗ることがほぼ確実視されており、増え続ける認知症高齢者を社会全体で支えるための在宅支援の重要性は増すばかりである。しかしこと口腔ケアに関しては、残念ながら私たち薬剤師からの働きかけはまだまだ始まったばかりである。現状として薬剤師側の口腔ケアへの理解不足に加え、歯科導入に際して患者家族の理解を得るのが難しい場面も多い。
 しかし今、社会情勢の変化が我々を後押ししてくれていると考えたい。投薬後フォローアップの義務化や健康サポート薬局・地域連携薬局化をめざすなかで患者・家族との接点がこれまで以上に増え、現場の薬剤師だからこそ気づけるチャンスや伝えられる機会も増えてきている。
 近年は高齢化そのものによる唾液分泌量の低下はほとんどないことが多数報告されてきており、私たちが当然のように考えていた高齢者の口喝の多くは薬剤や疾病の影響であることがわかってきた。服薬フォロー時に口腔内や嚥下、姿勢の変化などもチェックして薬剤の影響を確認し、適切なOTC医薬品や口腔ケア用品を提案・提供、必要に応じて医師へ連絡や減薬・切り替えの提案、歯科へ受診勧奨もしくは訪問を依頼、訪問看護へケア上の注意を連絡、ケアマネージャーに要介護度再認定検討を提案など、多職種連携につながる手掛かりはたくさんあるのではないか。
 ここでは薬剤師の視点から薬剤と口腔・嚥下の関連について認知症高齢者の特性と絡めて考えてみたい。