第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

優秀演題候補セッション(口演)

優秀演題候補セッション(口演)

2024年11月3日(日) 09:00 〜 10:20 第6会場 (4階 416+417)

座長:大上 哲也(千葉科学大学 薬学部 教授) 副座長:伊藤 将(株式会社アインホールディングス 医療連携学術部 学術課 リーダー)

[AO-01] 過量服薬(オーバードーズ)を防止する薬剤師などのゲートキーパーのための患者介入基準の構築: the OD prevention score

永島 一輝1,2, 安野 伸浩2, 松尾 和廣3, 行方 衣由紀3, 浜口 正悟3, 田中 光3, 渡邊 真知子2, 関根 祐子1 (1.千葉大学 大学院薬学研究院, 2.帝京大学 薬学部, 3.東邦大学 薬学部)

【背景・目的】過量服薬(オーバードーズ)を防止するためには積極的な介入が重要である。しかし、過量服薬のリスクがある患者を特定する基準がなく、介入の判断が難しい。我々は以前、救命救急施設の搬送患者から過量服薬後の患者を判定するためのthe OD scoreを構築した(1)。本研究では、薬局やドラッグストアで、過量服薬「前」にリスクのある患者を特定する基準として、the OD scoreを改変してthe OD prevention scoreを構築し、評価することを目的とした。
【方法】帝京大学医学部附属病院の救命救急施設に搬送された患者を対象とした。2021年の患者群でReceiver operating characteristic曲線を使用して、the OD prevention scoreのカットオフ値を評価した。ロジスティック解析により、過量服薬に有意に関連する評価項目を同定した。また、2022年の患者群で外部バリデーションを行った。
【結果】the OD prevention scoreは各項目の合計0-11の範囲で評価した。2021年の患者群で、the OD prevention scoreがカットオフ値6以上で過量服薬を強く予測した(AUC:0.97、95% CI:0.946-0.982、感度:0.87、特異度:0.92、p < 0.05)。多変量ロジスティック解析により、常用薬(向精神薬)の服用(調整済オッズ比[AOR]:2.6、95%CI:1.2-6.4、p = 0.02)と最近の精神的不安の経験(AOR:192.9、95%CI:38.6-1538.6 p < 0.0001)が、過量服薬と有意に関連していた。2022年の患者群における5回の外部バリデーションで、ほぼ同様の結果が示された(平均カットオフ:7.4、平均AUC:1.0、p < 0.0001)。
【考察】the OD prevention scoreは、過量服薬のリスクのある患者への介入基準として機能し得る。薬局やドラッグストアにおいて、薬剤師が過量服薬のゲートキーパーの役割を果たすための患者判定基準としての活用が見込まれる。
【引用文献】(1)Kazuki Nagashima* et al., BMC emergency medicine 24(1) 5 (2024)